プロ13年苦労人が驚愕スーパーセーブ 悩んだ34歳…曺監督へ「どうやったら出られるんですか」

昨季まで出番20試合、京都ベテランGK太田岳志が奮闘
京都サンガF.C.が3月1日のJ1リーグ第4節で今季初勝利を掴んだ。新加入のMF奥川雅也がJ1初ゴールとなる決勝点を挙げ、アウェーで川崎フロンターレを1-0で撃破。守備では34歳のベテランGK太田岳志が奮闘し、昨季までJ1での出場機会がわずか20試合だった苦労人が力強いプレーでチームを支えた。
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開幕から3試合未勝利(2分1敗)の京都はスコアレスで迎えた後半4分、相手のパスミスからFWラファエル・エリアスがゴール前へ持ち込むと、中央へ走り込んだ奥川へラストパスを送り、先制点を奪った。「成長して今年上の景色を見るためにはここで踏ん張らないと」(曺貴裁監督)。終盤は川崎の反撃を受けながらも、指揮官の思いを体現するように、チーム一丸となって守り抜いた。
流れを引き寄せたのが後半35分、失点のピンチを防いだ太田のスーパーセーブだった。DF佐々木旭からのクロスをゴール前でFWマルシーニョがヘディングシュート。「先に動くこともできるんですけど、手の届く範囲でできるセーブをしようっていうふうに、あの場面では判断して動かなかったのがうまくいったかなと」。ここぞで見せた好セーブは、偶然生まれたわけではない。敗戦から得た教訓を活かしたものだったと、太田は言葉を続けた。
「(前節の)福岡戦も川崎さんは似たような形で得点を取ってるので、ああいったボールは僕たちがリードしてたからどんどん放り込んでくるだろうなっていうのは思っていたんです。僕の中でですけど、開幕戦の岡山戦(0-2)から横からのボールに対しての反応っていうのを修正したいなって思ったなかで、岡山戦以降練習を取り組んでいるんですけど、それがうまくはまった形のセーブになった」
その言葉には、充実感がみなぎる。太田は2013年に大阪学院大からFC岐阜(当時J2)へ入団。16年以降は東京ヴェルディ(当時J2)、カターレ富山(当時J3)、京都と渡り歩き、今季でプロ13年を迎えるが、1年を通して出番ゼロに終わったシーズンは少なくない。
京都では2020年からの加入後3年間、リーグ戦で出番なし。J1復帰後、2年目となった一昨年は12試合、昨年は8試合に出場したが、自らの立場を固められなかった。悩みに悩んだ太田は「曺さんに『どうやったら僕は試合に出られるんですか』って言いに行ったことも何回かありました」とも明かす。
そんな状況が今季は変わりつつある。開幕から4試合スタメン出場は、プロ13年目にして初。出番に恵まれずとも、腐らずに振舞い続けた姿勢に指揮官が目を向けた。実戦機会を与えられた34歳は、その起用にプレーで応えた。
「練習は嘘をつかないっていうのを体現できてるんじゃないかなと。自信もある中でのプレーなので、それが開幕から出られている要因かなと。最初はやっぱり『J1でもできるのかな』っていう不安もあった中でのプレーだったんですけど、こうやってシーズンを重ねていくにつれて『J1でもやれる』っていう手応えは持っています」
日々の練習へ真摯に向き合い続けて13年、苦労人のキャリアがようやく花開こうとしている。