議論呼ぶJジャッジ新基準…「ただ流せばいいわけではない」 “戸惑う声”に元代表が提言【見解】
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【専門家の目|ハーフナー・マイク】新しくなったJリーグの判定基準
ヴァンフォーレ甲府などで活躍し、オランダ1部リーグで通算51得点を挙げた元日本代表FWハーフナー・マイク氏が、今季のJリーグの新ジャッジ基準について語った。オランダやスペインなど欧州の舞台を経験したストライカーは「まずはファウルの基準をしっかりするべき」と話し、今後改善されていくことを期待した。(取材・文=FOOTBALL ZONE編集部・井上信太郎)
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2月14日に開幕した今年のJリーグ。3節を終えたなか、話題になっているのが新しくなったジャッジ(判定)基準だ。アクチュアルプレーイングタイム(実際のプレー時間)を伸ばすことをテーマに、激しいコンタクトでも昨年までのようにファウルを取らず、プレーを“流す”場面が増えている。選手たちがセルフジャッジせずにプレーを続ける場面が増えた一方、ファウルの基準に戸惑いの声も出ている。
「やっぱりそれは感じましたよ。ちゃんとプレーが続いている時間が長くなれば、いいなとは思います。ですが、ただ流せばいいというわけではないですし、疑問に感じるところもありました。まだレフェリーの方たちも試合勘がないのは間違いないですし、シーズンが進むにつれて落ち着いてくるとは思います」
Jリーグがアクチュアルプレーイングタイムを伸ばしたいという流れについては理解を示す一方、あくまで審判の判定とは切り離して考えるべきだと感じている。
「インプレーの時間を伸ばすという意向は分かりますけど、正直そこはレフェリーの方たちがあまり気にする必要はないですし、切り離して考えたほうがいいと思います。あくまでファウルはファウルですから。プレー時間を伸ばすなら、もっとGKやスローイン、交代の部分など、そういう部分をコントロールするほうがいいと思います。やっぱり各チームのスタイルもありますし、まずはファウルの基準をしっかりすることが一番大事かなと思います」
12年から欧州にわたって5年半プレーし、日本に戻ってきたのが17年7月。オランダ1部デン・ハーグからヴィッセル神戸に完全移籍で加入した。欧州から、日本のサッカーに再び適応するのは、環境やジャッジの違いも含めて想像以上に苦労したという。
「僕もそうでしたけど、よく欧州から帰ってきた選手たちが、日本にアダプト(適応)するのに苦労していますが、それぐらい欧州と日本のサッカーは違うんですよね。日本のサッカーは常に動いているので、向こうのサッカーに慣れてしまうと、感覚を戻すのはなかなか時間がかかります。判定でもコンタクトの基準も違いましたし、一番はレフェリーとの会話が少ないなとは思いましたね」
ハーフナー氏によれば、欧州では日本に比べ、レフェリーとのコミュニケーションが多かったという。欧州でも、昨年の欧州選手権(EURO)では審判に質問ができるのは、キャプテンのみという特別ルールが適用されたが、主審がしっかり判定の理由を説明するなど、コミュニケーションは重要視されている。
「今は日本のレフェリーも会話が増えたと思いますけど、もっとあってもいいかなと思います。試合中は選手も熱くなっていますし、その時に向き合ってくれないと、さらに熱くなってしまいますから。理由をしっかり聞けば納得しますからね。最悪なのは試合が荒れて、選手が怪我することなので。今回のような議論が起こるのは、決して悪いことではないと思います。審判団も選手が感じたことを聞いて、一緒になって改善していくことを期待します」
(FOOTBALL ZONE編集部・井上信太郎 / Shintaro Inoue)
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ハーフナー・マイク
ハーフナー・マイク/1987年5月20日生まれ、広島県広島市出身。2006年に横浜F・マリノスの下部組織から昇格。福岡、鳥栖への期限付き移籍を経て、2010年に甲府に完全移籍。2011年にJ1で日本人トップの17得点を挙げ、日本代表に初選出。2012年1月にオランダ1部フィテッセに移籍。スペイン1部コルドバ、フィンランド1部ヘルシンキを経て、15-16シーズンはオランダ1部デン・ハーグに加入し、16得点を記録。その後は神戸や仙台などを経て、2022年に現役引退。日本代表は通算18試合4得点。現在はJ2甲府のクラブアンバサダーに就任し、ホームタウン活動やスクールコーチを務めている。