遠藤航が必要不可欠「抜群に上手い」 余裕が生んだ“守備変化”「違った日本人の価値を証明」【見解】
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【専門家の目|太田宏介】遠藤は今季クローザーとしての地位を徐々に確立
日本代表MF遠藤航は、イングランド1部リバプールで2年目のシーズンを送っている。アルネ・スロット監督体制となりプレミア王者へ近づくチームの中で、31歳となった遠藤の存在感も日に日に高まってきた。限られた時間でも役割を全うする遠藤について、元日本代表DF太田宏介氏も“変化”を感じている。(取材・文=FOOTBALL ZONE編集部)
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前任ユルゲン・クロップ監督の下でアンカーとして不動の地位を築いていた昨季と変わり、今シーズンはベンチを温める場面が多くなった。それでもカップ戦、UEFAチャンピオンズリーグ(CL)など限られた試合で与えられた守備の任務をきちんとこなし、徐々に現監督の信頼を勝ち取っている。
プレミアリーグ2年目となり、加入当初に目立ったファウルも減少傾向。「プレーに余裕が見えます。個人で全てを守ろうとしていた昨シーズンに比べて、スピード感やフィジカルで慣れない部分を克服し、今はしっかりと周りを動かせるようになってきました。(アンドリュー・)ロバートソンや(フィルジル・)ファン・ダイクなどとのいい距離感を保ちながら、効率良く守れるようになっていますね」と、太田氏は遠藤の成長を感じ取った。
遠藤の担う役割も明確になったことも、好パフォーマンスの要因の1つ。ただ中盤ではライアン・フラーフェンベルフ、アレクシス・マック・アリスターの2人が好調を維持しており、「ここに割って入るっていうのは、もちろん簡単なことではないです」と冷静に分析する。それでも「90分トータルのマネジメントの時、必ず遠藤選手が必要だという立ち位置にいるのは素晴らしいこと」と、太田氏も現地評価の高さを喜んだ。
スロット監督の信頼も次第に高まっており、会見で「ワタがいかに重要か分かった」とコメントするほど。途中出場の際には現地サポーターからチャントや拍手、歓声が沸くなど、遠藤の人気が高いことが窺える。
「南野(拓実)選手のリバプール時代ももちろん凄かったけど、遠藤選手はまた違った日本人の価値を証明しています。相手のパスコースをふさぐのが抜群に上手い。またボールを刈り取り相手の攻撃の芽を摘む。その役割を完璧にこなしています。普段の練習から信頼を積み重ねて、出られない状況にも我慢。与えられたところを全うする姿は……まさにプロフェッショナルですね」
太田氏は現在、プレミアで首位を走るリバプールにおいて遠藤選手が優勝カップを掲げる夢の姿にも思いを馳せる。「残り10試合で2位と勝ち点13の差……これはもう確実じゃないですか。いやあ、すごいです」と、期待も含めた感嘆の声を漏らしていた。
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太田宏介
太田宏介(おおた・こうすけ)/1987年7月23日生まれ。東京都出身。FC町田―麻布大学附属渕野辺高―横浜FC―清水エスパルス―FC東京―フィテッセ(オランダ)―FC東京―名古屋―パース・グローリー(オーストラリア)―町田。Jリーグ通算348試合11得点、日本代表通算7試合0得点。左足から繰り出す高精度のキックで、攻撃的サイドバックとして活躍した。明るいキャラクターと豊富な経験を生かし、引退後は出身地のJクラブ町田のアンバサダーに就任。全国各地で無償のサッカー教室を開校するなど、現在は事業を通しサッカー界への“恩返し”を行っている。