横浜FMに必要な“成功体験” 守備に手応えも…掴めない攻めの糸口「ギャップがある」

横浜FMは横浜FC戦で0-0のスコアレスドロー
2025年シーズンのJ1リーグ第3節、2年ぶりの開催となった横浜F・マリノスと横浜FCによる「横浜ダービー」はスコアレスドローに終わった。過去4戦全勝だったホームでのダービーで白星を逃した横浜FMはこれで開幕3戦未勝利が継続となった。試合後、選手たちが口にしたのは攻撃面での課題と、守備への手応えだった。
【PR】ABEMA de DAZN、日本代表選手の注目試合を毎節2試合無料生中継!
4-4-2システムでスタートした横浜FMは、安定した守備で相手に決定的なチャンスをほとんど作らせなかった。しかし、それと同時に自分たちも攻撃の形を作れず、ブロックを敷いて守る横浜FCの守備を崩す糸口を掴むことはできなかった。
試合が進むにつれオープンな展開となってからは相手ゴール前にボールを運ぶシーンは増えたが、結局フィニッシュを決めることはできずに0-0のまま90分を終えた。ここまでリーグ3試合で奪った得点はFWアンデルソン・ロペスのPKの1点のみというのはあまりにさみしい数字だ。ホームでは過去4戦全勝だった横浜ダービーで勝点を落とし、試合終了のホイッスル直後にはスタンドのサポーターからブーイングも鳴り響いた。
ここ数年継承されてきた「アタッキングフットボール」が影を潜めている現状について、MF天野純は「ペナルティーエリア内への侵入の仕方の共有が今はまだできていない部分がある。監督が代わってやるべきことも多く、そこまで至っていないのが原因」と語った。MF山根陸も「監督もおっしゃっていましたけど、ファイナルサードの突破の部分はチームとして引き出しを増やしていかないといけない。個人のクオリティー、チームとしての連携、関係性をもっと深めていくべき試合でした」とやはり攻撃面での不足に言及した。
最後方からチームを支えるGK朴一圭は「僕が思っていたのはシンプルにシュートが少ないなということ。もっとシンプルに足を振っていっていいんじゃないか。GKの心理として、入る入らないは別にして(シュートを)打たれるのはすごく嫌」とGK視点で、相手に与える迫力が欠けていると指摘していた。ピッチに立っていた選手たちが異口同音に攻撃の課題を挙げていたが、チーム全体として問題があるわけではないという部分でも意見は一致していた。
天野はダービーのドローという結果について「単純に個人のミスが多かった。やっていて、クオリティーが足りなかっただけだと思っています。僕のところでもっと相手のプレスを外せたはず」としたうえで、「守備は今の監督のほうがより整備されていると思いますし(去年までと今年で)それぞれのいい部分をミックスできれば次のレベルにいけると思います」と話した。山根も「守備のところはポジティブな部分も多かった。決して悪い内容ではなかったと思うので、とにかく下を向かずに続けていきたい」とコメント。チームが進んでいる方向は間違っていないとしたうえで、継続の必要性を強調した。
守護神の朴もやはりディフェンス面には手応えを感じつつ、攻撃に関しては「もう少し我慢が必要」だと主張している。
「どんどん前に出て、速く攻めるサッカーが根付いているから、どうしてもそういう形で点を取りにいこうとしてしまう。今はセットして、時間を使いながら崩していくやり方だから、まだギャップがみんなの中である。守備はだいぶ整備されてきていて、攻撃に関しても練習はやっているんですけど、なかなか成功体験を得られていない。何年もあの攻撃的なサッカーをやってきたから、それはなかなか抜けるものじゃないです。でも、少しずつ理解していけば、表現できるようになってくるはず。もう少し我慢だと思っています」
守備は安定しているが、勝つために必要なゴールが奪えない。それが横浜FMの現在地だ。今後も中2日で湘南ベルマーレ、上海海港との連戦となる。この過密日程のなか、浮上のきっかけとなるような“成功体験”を得ることはできるだろうか。
(石川 遼 / Ryo Ishikawa)