東京V、悪夢の大敗後「練習が止まって、目を覚ました」 2戦5失点からなぜ…完封勝利の舞台裏

東京Vが1点を守り抜き町田に勝利【写真:Getty Images】
東京Vが1点を守り抜き町田に勝利【写真:Getty Images】

町田とのアウェー戦で会心の勝利、2戦5失点から劇変

 東京ヴェルディが2月26日のJ1リーグ第3節・FC町田ゼルビア戦で1-0の完封勝利を収め、今季初勝利を飾った。開幕から2連敗と苦しい船出を切り、前節の鹿島アントラーズ戦では4失点を喫するなど不安を覗かせたものの、町田戦では会心の勝利。待望の1勝をもたらしたのは原点に立ち返った戦いぶりだった。

【PR】ABEMA de DAZN、日本代表選手の注目試合を毎節2試合無料生中継!

 16年ぶりのJ1復帰を果たした昨季、東京Vはリーグ6位の好成績を収めた。他と比べて戦力の見劣りは否めず、下馬評は低かった。それでも残留争いを回避し、J1で旋風を巻き起こせたのは、選手個々が勝利への執念を燃やし、愚直に戦い続けたからにほかならない。

「我々のような規模のチームは、あるいは経験値のチームは走り負けちゃいけないんです」。町田戦後の記者会見で、城福浩監督は改めてこう訴えた。資金力が乏しく、戦力が限られるからこそ、ハードワークを厭わず、球際での勝負、攻守の素早い切り替えで、いかに相手を上回れるかが勝負の鍵を握る。

 昨季6位の成績に浮かれず、あくまで挑戦者の立場で今シーズンに臨んだはずだった。しかし、開幕節で清水エスパルスに0-1、第2節では鹿島に0-4の大敗を喫し、連敗スタートに。「この舞台に立って当たり前だとピッチに立たせてしまった自分がいたと思います」と反省の弁をこぼした指揮官は一方で、町田戦を「我々が変われるチャンスだと思っていました」と語る。

 その言葉どおり、ここ2戦に比べて内容は劇的に変わり、前半は「パーフェクトに近い試合をした」(城福監督)。前線からの果敢なプレスを効かせながら、徐々に主導権を握ると13分、ボールカットから速攻に転じ、山見大登のスルーパスを受けた新井悠太のクロスに反応した齋藤功佑が右足で先制点を叩き込んだ。

 後半、町田の猛反撃を受けたが、守備陣が踏ん張り今季初勝利。センターバックの谷口栄斗は「開幕から2節、不甲斐ない戦いでしたが僕たちも、観ている観客たちも、ちょっと違うなっていう感覚はあったと思いますし、それが開始のところからしっかりできたのが良かったポイントだと思いますし、勝てたポイントだと思います」と、自信を覗かせた。

 4失点の惨敗を喫した鹿島戦から中3日、大敗からの切り替えは簡単ではなかった。その敗戦を引きずったまま、町田戦で同じ目に遭う可能性すらあったが、重いムードが突然晴れる。そのきっかけとなった出来事に、谷口は目を向けた。

「鹿島戦の次、次の日の練習の時に1回練習が止まって、そこで森下(仁志コーチ)さんからの言葉が、何を言われたかっていうのはあんまり言いたくないんですけど、そこでみんなが目を覚ましたというか、いい機会があった。僕もすごく食らいましたし、チーム全体としてもほんとにピリッとした」

 昨季3位の町田からアウェーで奪った勝ち点3は、上昇ムードを呼び起こすものになるだろうか。勝利への執念を燃やす“らしさ”を取り戻したその戦いぶりで、今季も躍進を狙う。

page1 page2

今、あなたにオススメ

トレンド

ランキング