浦和を上回った90分間「感動しています」 クラブ初の偉業に指揮官「単純に嬉しいけど」
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湘南がクラブ史上初のJ1開幕3連勝「おめでとうございますと言いたい」
湘南ベルマーレは2月26日のJ1リーグ第3節で浦和レッズに2-1の勝利を飾った。これがクラブ史上初のJ1での開幕3連勝になったが、山口智監督は「おめでとうございますと言いたいです」と少し苦笑いしながら応じた。指揮官は「自分も一緒に築き上げられてありがたいという思いもあるし、単純に凄いなという言葉しかない」と、チームの歩みに喜びを語った。
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湘南は鹿島アントラーズ、セレッソ大阪と力のあるクラブを相手に開幕連勝を飾ってこの試合を迎えた。そしてこの試合の前半は、完全に浦和を制圧する展開になった。攻守両面で明らかに上回り、相手に許したシュートはセットプレー絡みの1本のみ。逆に、前半を1-0で終えたのが決定力不足に見えるほど多くのゴールチャンスを作り出していた。
先制点は両サイドを広く使ってクロスを連続して大きく揺さぶったところからFW福田翔生が押し込んだ。前半の出来に「僕も感動しています」と指揮官も振り返る。「前半は自分たちが思うサッカーができた。しっかり相手を見て自分たちがつながることができた。得点も素早い動かしの中で生まれた。見ていて単純に、客観的に凄いと思った。欲を言えば追加点が欲しかったが、守備でも自分たちのやってきたことを出してくれた」と、選手たちのプレーを称賛した。
ハーフタイムには「勝っていても負けていても基準に対してどうなのかと問いかけながら、足りなければ要求するし、できていれば徹底する。今日はできているから良いよねとしながら、後半も同じことができるか試されているよ」という言葉を伝えたという。そして、チームは後半立ち上がりに追加点を奪うと、1点差に詰め寄られてからはプレスよりも自陣にブロックを作って構える形を優先させて逃げきった。
指揮官は「しっかり準備をして形を変えてもできることが強みでもある。もちろん同じ形で跳ね返すようなことも考えるけど、全員が共通認識を持ってやれたと思う」と、試合の締め方にも胸を張った。
監督が称えたのは選手とともに作り上げてきたもの「単純に凄い」
湘南はクラブ史上初のJ1での開幕3連勝となった。かつて所属したスター選手、元日本代表MF中田英寿氏や現日本代表MF遠藤航の在籍時にもなし得なかったものだという質問を受けた指揮官は「湘南にずっと関わっている人には感慨はあると思うけど、もちろん凄いこと、誇らしいことであると思うし単純に嬉しいけど、それを目標にしているわけではない。ここから35試合ある中でちょっとでも多く勝ちたい。今日は良いところが出ていたし、3連勝よりも出し切ってくれたこと。嬉しいけど、あまり何もないです。おめでとうございますと言いたいです」と話した。
一方で、チームの積み上げには自信と手応えを語った。「共通認識の中で一緒に築き上げているものが、自分もつながる中で共有して関係性が作れているのを単純に凄いと思うし、もちろん僕もいろいろなヒントは与えるけど、やっているのは僕ではないので。相手を見て判断するのは大事だと思うし、自分が考える中での指導指針がすごくできるようになり出したなと。自分も一緒に築き上げられてありがたいという思いもあるし、単純に凄いなという言葉しかない」と、勝利という結果はもちろんだが、そこに伴っているものがある喜びがある。
どちらかと言えばシーズン終盤にはJ1残留争いで名前の挙がってきたクラブだが、開幕3連勝の今季は違った形での注目を集める台風の目になりそうな気配も見せている。
(轡田哲朗 / Tetsuro Kutsuwada)