湘南との明暗「非常に貧相」「好調でシステマチック」 浦和監督が消沈…選手に語った数分間

浦和のマチェイ・スコルジャ監督【写真:徳原隆元】
浦和のマチェイ・スコルジャ監督【写真:徳原隆元】

浦和のスコルジャ監督、試合後の会見到着まで30分かかった

 浦和レッズのマチェイ・スコルジャ監督は、消沈した様子で記者会見場に姿を現すと「非常に貧相な前半だったと言えます」とこぼした。2月26日のJ1リーグ第3節で湘南ベルマーレと対戦すると1-2の敗戦を喫したが、前半は手も足も出ない展開に追い込まれていた。

【PR】ABEMA de DAZN、日本代表選手の注目試合を毎節2試合無料生中継!

 今季の浦和はスタジアムの事情もあり開幕3連戦がいずれもアウェーゲームになった。ヴィッセル神戸、京都サンガF.C.と引き分け、初勝利を期して乗り込んだ。しかしながら、ボールを持てば湘南のプレスに対しサイドの狭いところへ追い込まれてのボールロストを繰り返し、相手ボールでのプレスは奪いどころを作れずに打開される場面が連続した。前半のシュート数は浦和がセットプレーの二次攻撃からDFマリウス・ホイブラーテンが放った1本だったのに対し、湘南は公式記録では9本。速報値では10本を超える集計もあった。

 その中で、前半26分に失点を期した場面では左右にクロスで揺さぶられてゴールが陥落した。敗戦後でも毅然とした態度で記者会見に臨むことの多い指揮官だが、珍しく試合終了から会見場に顔を出すまで約30分もかかった。「ロッカーでチームに話をしたが、それがいつもより長めになった。ロッカーの中ではさまざまな感情があった」と話したスコルジャ監督は、特に前半の悪い出来について、厳しい言葉と言うよりも消沈した様子で語った。

「非常に貧相な前半だったと言えます。あらゆる要素がうまくいかなかった。立ち上がりからハイプレスを掛けて支配しようとしたが、全くそれができなかった」としたうえで、「ハイプレスが破られた後、相手の攻撃陣との距離が遠くて、受けられて展開されることが多かった。つまり、十分に寄せていなかったということです。そしてローディフェンスのところ、クロス対応の時に逆サイドのウイングが大外をケアするやり方だったが、前半はそこが遅れることが多かった。繰り返しになるが、ボールを失った後のリアクション。相手との距離が遠く、いつもより低いレベルで行ってしまった。それによりボールを奪い返せなかった」と話した。

浦和が押し込んだ時間帯、サンタナが追撃のゴールも及ばず

 後半立ち上がりにもセットプレーで追加点を許し、ビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)のチェックで取り消されたものの、0-3になりかけた場面もあった。その後、後半17分にはMF松本泰志のラストパスからFWチアゴ・サンタナが追撃ゴール。時間の経過とともに押し込んで圧力を掛けた姿を「選手たちが流れを変えようとしていた姿は私にはポジティブだった。エネルギーを取り戻してプレースピードが上がったかのように見えた」と指揮官は前向きに捉えた。

 ただし、湘南の山口智監督が「今年に取り組んでいる、押し込まれても我慢できるというのが、できるんじゃないかというメッセージを送った。理想はプレスを掛け続け相手の嫌がることをし続けることだが、サッカーなので難しい。しっかり準備をして形を変えてもできることが強みでもある」と、5-4-1にシステムを変更して撤退して受け止めることを選択したこととの兼ね合いもあるのは事実だろう。浦和が押し込んだ時間帯を額面通りに評価して良いのかは疑問も残る。

 もちろん、スコルジャ監督が「湘南は好調で、プレーもシステマチックで自動化していると言えるほどだった」と話したように湘南が開幕3連勝に値するゲームをしたのも事実だろう。しかしながら、試合前から両チームがプランを立て準備してきた状態で対峙するはずの前半に見られた姿は、あまりにも一方的に過ぎた。

 開幕3戦未勝利の浦和は、3月2日にホーム開幕戦で柏レイソルと対戦する。2021年と22年に浦和の指揮を執ったリカルド・ロドリゲス監督や、昨季までプレーしたMF小泉佳穂の古巣対戦となるゲームでもある。その一戦に勝利することで反撃の狼煙を上げることができれば立て直しへの大きな力になりそうだが、早くも浦和はシーズン序盤の正念場を迎えたと言えそうだ。

(轡田哲朗 / Tetsuro Kutsuwada)



page 1/1

今、あなたにオススメ

トレンド

ランキング