横浜FMの21歳が見せる片鱗 新体制で存在感「手を付けられない存在になる」【インタビュー】

2年ぶりに横浜のプライドをかけた一戦が行われる【写真:Noriko NAGANO】
2年ぶりに横浜のプライドをかけた一戦が行われる【写真:Noriko NAGANO】

【横浜ダービー熱狂週間】「ほんの少しの隙も見せられない展開が続く」

「日本サッカーを共に盛り上げる」を新たなコンセプトに掲げる「FOOTBALL ZONE」では、クラブや選手の魅力を“深掘り”する「ZONE的Jクラブの深層」を掲載。今回は、「横浜ダービー熱狂週間」と題し、 “横浜ダービー”のカウントダウン企画を実施する。2月26日にホーム「日産スタジアム」で横浜F・マリノスが横浜FCを迎え撃つ一戦で、勝敗を分けるポイントはどこか。また、両チームの注目選手を横浜F・マリノスのアンバサダーである波戸康広氏が語った。(取材・文=FOOTBALL ZONE編集部・山内亮治/全3回の3回目)

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 2年ぶりに横浜F・マリノスと横浜FCがJ1の舞台で激突する。同じ町を本拠地とするクラブ同士のプライドを懸けた一戦。波戸氏は今回のダービーを「ほんの少しの隙も見せられない展開が続くと思います」と展望する。

 その要因となるのが、両チームの基本システムだろう。互いに3-4-2-1で臨めばミラーゲームとなり、1対1のデュエルが持つ意味は必然的に重みを増す。それゆえ、「1人でもはがされてしまえば数的不利に陥るので、そうはさせないと意地の張り合いみたいな試合が見られるのではないか」、シビアな局地戦が続くと波戸氏は予想する。

 では、そんな試合で違いを生む存在は誰になるのか。横浜F・マリノスでは「新加入選手の躍動が鍵を握るかもしれません」と波戸氏。「昨年のベースにプラスアルファの勢いをもたらすことができる」キープレーヤーとして、前線ではFW遠野大弥を挙げた。

 また、スティーブ・ホーランド新監督就任による3バック導入とともに守備の再構築を進める横浜F・マリノスでは、ディフェンスから中盤にかけてのポジションで誰がキーマンになるかも注目すべきポイントだ。これについて、波戸氏が名前を挙げたのが21歳のトーゴ代表MFジャン・クルード。新体制で存在感を増す助っ人のポテンシャルに波戸氏は目を細める。

「ジャン選手はハイボールの跳ね返しに加え、身体能力を生かしたカバーリング能力にも素晴らしいものがあります。これから試合経験を積むごとに自信を深められれば、リーダーシップも出てくるでしょうし、それが展開力となって試合に現れると思います。そうなると、Jリーグ全体においてもちょっと手を付けられない存在になるんじゃないでしょうか」

横浜F・マリノスのアンバサダーを務める波戸康広氏【写真:(C) 1992 Y.MARINOS】
横浜F・マリノスのアンバサダーを務める波戸康広氏【写真:(C) 1992 Y.MARINOS】

規格外ストライカーと経験豊富な2人の新加入選手

 対して、横浜F・マリノスにとって横浜FCの“要注意人物”は誰になるのか。波戸氏は第2節のファジアーノ岡山戦で決勝点を挙げ、FC東京との開幕節でも存在感を発揮したFW櫻川ソロモンに言及。「ちょっと規格外なストライカー」と評し、若き点取り屋のプレーが横浜ダービーの行方に影響を与えると見ている。

「櫻川選手は191cmと体格に恵まれ、まだ23歳と若い。F・マリノス戦の活躍次第では成長スピードが急速に上がっていってもおかしくありません。何より、ストライカーが決めればチームは乗ってきます。そうさせないように、F・マリノスは警戒を怠ってはいけない。そういう意味で、彼とF・マリノスDFとのマッチアップは面白いと思います」

 さらに、2022シーズンから四方田修平監督の下で積み重ねが続くチームにあって、貴重な経験をもたらす存在として北海道コンサドーレ札幌から今シーズン加わった2人の新戦力も忘れない。

「駒井善成選手と鈴木武蔵選手も気になりますね。特に鈴木選手は札幌で不完全燃焼な部分も多かったはずですから、もう一度自分の存在価値を示そうと期するものがあるでしょう。経験とモチベーションの観点から、この2選手もF・マリノスにとって警戒が必要なプレーヤーです」

 横浜F・マリノスがこれまでホームで戦った横浜ダービーは4戦4勝。スコアはいずれも大差がついている(2007年8月11日:8-1、2020年7月22日:4-0、2021年4月24日:5-0、2023年4月8日:5-0)。それでも、「今年は大差がつかない締まった展開になるでしょう」と波戸氏。注目に挙げた選手たちがどのようなプレーを見せるか期待が高まる。

[プロフィール]
波戸康広(はと・やすひろ)/1976年5月4日生まれ、兵庫県南あわじ市出身。滝川第二高校卒業後の1995年に横浜フリューゲルスに加入し98年までプレー。フリューゲルスのチーム消滅に伴い、99年に横浜F・マリノスへと移籍し2004年シーズン途中まで在籍した後、柏レイソル、大宮アルディージャを経て10年に横浜F・マリノスへ復帰を果たし、翌年に現役を退いた。12年に横浜F・マリノスのアンバサダーに就任。現役時代は主にサイドバックとして活躍し、日本代表としても15試合出場を記録している

(FOOTBALL ZONE編集部・山内亮治 / Ryoji Yamauchi)



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