日本の主力が得た”手応え” 強豪相手に「借りを返したい」…外国人監督の下で徹底した「共通意識」

なでしこジャパンはアメリカとの対戦を控える
なでしこジャパン(日本女子代表)は、チーム史上初の外国人指揮官ニルス・ニールセン新監督を迎えシービリーブスカップに参戦している。2月26日(日本時間27日)には開催国のアメリカと対戦するが、パリ五輪8強で敗れた世界の強豪との再戦に、主力選手たちには当時と違った手応えがある。
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昨年12月に就任が発表されたニールセン監督の指揮下で初の活動になった今大会だが、オーストラリアに4-0、コロンビアに4-1と快勝を続けている。集合から数日で初戦だったにもかかわらず攻撃にスムーズさがあり、ボールも良く動いた。MF藤野あおばはその要因に「ボールを持ちながら主導権を持つ、大きなコンセプトが共有されていること」を挙げた。
それによるピッチ上の現象として、藤野は「大まかでもボールを持つという明確な指示があったことで、距離が近くなるとかワンタッチではたいての3人目など、ピッチ上の選手がつながる感じがある」として、「ビルドアップはアンカーにつけて、中央に密集させてサイドを使うという、どういうサッカーをしたいか、どこの選手を見るのかという明確な目標付けがされている」と話した。もちろん日本人選手たちが育成年代から慣れ親しんできたスタイルに近いという理由もあるだろうが、明確な提示が短期間でもチームをスムーズに動かしていると言えそうだ。
一方で、藤野が「初戦がオーストラリアで、プレーする中でも前線からプレスを掛けてこない相手というところで余裕があり、やりやすかった」と話したような対戦相手との兼ね合いがあったのは事実だろう。その点でいくと、今大会の優勝をかけ迎える最終戦のアメリカ戦は試金石になる。昨年夏のパリ五輪では、守備的に構えた日本はよく耐えていたが延長戦で決勝ゴールを許して敗れた。その後、アメリカが金メダルを獲得しただけに悔しさの大きな一戦になった。
そのアメリカ戦でもスタメン出場していたDF古賀塔子は「五輪の時は相手にボールを保持され、奪ってもすぐに取り返される印象で、主導権を握れなかった」と話す。そのうえで「パリでは主導権がなくいつも守備から入ってカウンターだった。自分たちがやりたいサッカーができなかった印象なので、(今大会の)自分たちで主導権を握ってサッカーができている中でアメリカと対戦できるのがポジティブ。日本のサッカーを体現しながら借りを返したい」と、当時とは違ったアプローチで世界の強豪との戦いに挑めることを前向きに捉える。
藤野もまた「今までのサッカーでは人と人の距離感が遠くなり、日本が短所にしている個々の打開力に持っていかれると相手にアドバンテージができてしまう」と、パリ五輪での戦いを振り返った。そのうえで「距離感やスペース、味方の生かし方など、臨機応変にやるのが大切だと思うけど、チームが共通意識を持つのが大切だと思う。そういうところは短い時間でもすり合わせができれば勝てない相手ではないと思うので、勝利をもぎ取りたい」と、違った姿を見せてのリベンジを誓った。
これまでの2戦とは違い、相手に支配されるような時間帯も生まれてくると予想される強豪との対戦だが、だからこそ1つの試金石にもなる。得失点差により引き分け以上で優勝の決まる一戦だが、チャレンジを推奨する指揮官の下で前向きなプレーを続け勝利を奪いにいく。
(轡田哲朗 / Tetsuro Kutsuwada)