19歳で昇格に貢献も「自信なくなった」 名コーチとの出会いで激変「うまくなったわけではないけど」【インタビュー】

GK野澤が振り返るいわてでの経験
FC東京のゴールを守るGK野澤大志ブランドンは、沖縄県で地元のFC琉球のアカデミーで育ち、高校生になるタイミングでスカウトを受けFC東京のアカデミーへ。1年早いトップ昇格を勝ち取ったものの、簡単にJ1でレギュラーというわけにはいかなかった。育成型期限付き移籍で出場機会を得るも、自信を失っていく日々。それを変えたのが、年代別代表の合宿で浜野征哉と出会ったことだった。(取材・文=轡田哲朗/全4回の3回目)
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2020年、高校3年生になるタイミングの17歳でトップ昇格した野澤だが、そのスタートは「当時のFC東京では4番手だった」というもの。模索していた21年の夏、当時J3のいわてグルージャ盛岡に育成型期限付き移籍をすることになった。
「19歳になる年に期限付き移籍したんです。FC東京で勝負したい思いはあったけど、冷静に自分のことを見れば実力はそこに達していないと。チームと数日話して、すぐに期限付き移籍を考えました。その話が出てすぐにいわてからオファーが来て、すぐに返事をした形で。考えていなかったからこそ、簡単に決断できたのかなと思います。振り返ってみれば、自分の人生を成長させた1年半になったなと思います」
実際に野澤は岩手への移籍直後から出場機会をつかみ、チームはJ2昇格を果たす。しかし、自己評価は「岩手で試合に出させてもらい、J2に昇格しましたけど不安もすごく大きかった。このままじゃダメだと思っていたし、自分が昇格させたと1ミリも思わず、むしろ勝たせてもらった、助けてもらったと思っていました」というもの。そして「J2では勝てなくなって、自信もなくなった。どうしたらいいんだろうと思うことも多かった」と、苦悩の時期が訪れた。
一方で、コンスタントに24年のパリ五輪を目指す代表チームに選出されていた野澤にとって、名GKコーチとの出会いがあった。A代表のGKコーチを務めた経歴を持ち、前年限りで浦和レッズのGKコーチを退任してこの世代の代表チームに加わった浜野コーチの存在が人生を変える大きなものになった。
「浜野コーチと出会っていろいろと話し、ちょっとしたキッカケがあったというか。僕が試合に出る時に、前向きなプレーができるようにサポートしてくれたんです。そこから、自分がなぜGKをやっているのか、どういうプレーに憧れてGKを始めたかなどを思い出して、GKを楽しめていないなと。初心に立ち返るじゃないですけど、そもそも自分の100%を出せていないなと感じたんですね。
人それぞれだと思いますけど、僕はもう1回自分が憧れてきたものを試合で実践しようと。ミスを恐れず直感のままにプレーしていくこと、考えではなくプレーで説得力を出すように取り組んだんです。急激にうまくなったわけではないですけど、よりGKを楽しいと思えるようになった。そもそも持っているものを今まで出せていなかっただけなんだと思えるようになって、改めてGKが楽しいとなったのを覚えています」
マインドが変われば、プレーも変わった。「上手くなったわけではないけど、よりピッチに出る選手としてたくましくなれたなと感じます。いろいろな人に出会ってきて、自分自身がすごく素直に人との出会い、どんな場面からでも何かを得ていきたいと思っていたので、それが実を結んでいるのは感謝しかないです」と、当時を振り返り感謝の思いを言葉にしていた。
そして、1年半の岩手でのプレーを終えると23年にはFC東京に復帰する。そこで味わった難しさ、そして24年のパリ五輪に向けた同世代との切磋琢磨は野澤に、「試合で使いたいGKはどういうGKなのか」という視点を与えることになった。(第4回へ続く)
【試合情報】
開催日:2025年2月26日(水)
カテゴリー:J1リーグ第3節
対戦カード:FC東京 vs 名古屋グランパス
キックオフ時間:19:00
試合会場:味の素スタジアム
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(轡田哲朗 / Tetsuro Kutsuwada)