日本代表戦で出現…“縮小ピッチ”なぜ可能? 意外と緩いサッカーの「サイズ規定」【解説】

ピッチサイズやライン幅などの数字について解説(写真はイメージです)【写真:中戸川知世】
ピッチサイズやライン幅などの数字について解説(写真はイメージです)【写真:中戸川知世】

正しいサッカールール&規則解説:第1回/サッカーにまつわるサイズ規定

 普段何気なく見ているサッカーのピッチですが、よく考えると不思議なことってありませんか? 2024年11月のワールドカップ(W杯)アジア最終予選で、日本代表が中国代表とアウェーで対戦した時、いつもよりピッチの横幅が狭めてありました。あれってアリ?  そしてボールがゴールに飛び込んで得点になる時、ラインを完全に越えなければならないのに、ペナルティーエリアのライン上のファウルはなぜPKになるの?……そんな疑問を解決すべく、今回はサッカーのピッチサイズやライン幅などに関する数字を紹介します。(文=森 雅史)

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 サッカーのピッチサイズに規定はありますが、自由度が高くなっています。広さは縦の長さが90メートル(100ヤード)から120メートル(130ヤード)、横の長さが45メートル(50ヤード)から90メートル(100ヤード)です。ただし、90メートル×90メートルの正方形は認められていません。

 国際試合になると、縦が100メートル(110ヤード)から110メートル(120ヤード)、横が64メートル(70ヤード)から75メートル(80ヤード)と規定されています。

 国際サッカー連盟(FIFA)はW杯やオリンピックなどでのピッチの大きさを105メートル×68メートルと定めており、日本サッカー協会(JFA)も国際試合および全国的規模での大会のピッチの大きさを105メートル×68メートルと決めています。

 W杯予選は本大会ではないため、国際試合の規定の中でピッチの大きさを変えることができます。そのため、中国戦では横幅が68メートルよりも短いピッチで試合が開催されました。

 このようにサッカーの規定の中には融通が認められているものがあります。例えば、ゴール。ゴールポストとクロスバーは同じ幅と同じ厚さであることが求められますが、円柱でも楕円でもあるいは四角でも構いません。そして大きさは「12センチ以下」という定義になっています。JFAは12センチを「最適」としています。

 同じように、ラインの幅はすべて同じでなければならず、「12センチ以下」です。コーナーフラッグの高さは「1.5メートル(5フィート)以上」になっています。

 ただし、しっかり長さが決まっていることもあります。まずはゴールの大きさ。両ポストの間7.32メートル(8ヤード)で、ピッチからクロスバーの下端までは、2.44メートル(8フィート)。これはきちんと決まっていて当然でしょう。

 ほかにもゴールエリアは「ゴールポストの内側」から5.5メートルのところにゴールラインと直角になるよう5.5メートルのラインを引き(ラインの外側が5.5メートル)、その「先端」をゴールラインと平行なラインで結ぶエリアになります。

 また、ペナルティーエリアは「ゴールポストの内側」から16.5メートルのところにゴールラインと直角になるよう16.5メートルのラインを引き(ラインの外側が16.5メートル)、その「先端」をゴールラインと平行なラインで結んだ、ラインの内側のエリアになります。

 ここでポイントなのは、そのエリアを囲む線の「外側」までが、エリアに含まれるということです。つまり、ペナルティーエリアのライン上でファウルがあったということは、ペナルティーエリアの中でのファウルということになります。

「三笘の1ミリ」のように、ゴールラインギリギリでのプレーは、ラインの上なのでボールが外に出ていないということになります。ゴールの中のラインを完全に越えなければ得点にならないというのもこの考え方からです。

(森雅史 / Masafumi Mori)



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森 雅史

もり・まさふみ/佐賀県出身。週刊専門誌を皮切りにサッカーを専門分野として数多くの雑誌・書籍に携わる。ロングスパンの丁寧な取材とインタビューを得意とし、取材対象も選手やチームスタッフにとどまらず幅広くカバー。2009年に本格的に独立し、11年には朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の平壌で開催された日本代表戦を取材した。「日本蹴球合同会社」の代表を務め、「みんなのごはん」「J論プレミアム」などで連載中。

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