海外日本人が被害…「珍しくない」 久保建英に向けられた“嘲笑”、人種差別の根源【見解】

ラ・リーガ第20節バレンシア戦で人種差別被害を受けた久保建英【写真:Getty Images】
ラ・リーガ第20節バレンシア戦で人種差別被害を受けた久保建英【写真:Getty Images】

【専門家の目|太田宏介】久保は1月に人種差別被害を受けた

 スペイン1部レアル・ソシエダの日本代表MF久保建英は、1月の試合で人種差別的な発言を受けた。大きな問題となったこの件について、海外でのプレー経験のある元日本代表DF太田宏介氏に尋ねると「ゼロになれば理想だと思います」としつつもその土地の文化に根付く難解な問題には頭を悩ませている。(取材・文=FOOTBALL ZONE編集部)

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 問題が起こったのは現地時間1月19日のラ・リーガ第20節バレンシア戦だ。0-1で敗戦した試合。久保はウォーミングアップ中にスタンドから「chino(チーノ/中国人男性の意)、目を開けろ!」といった罵声が浴びせられたと現地で報じられた。反応せず静かにアップを続けた久保の姿も、大きく取り上げられている。

 オランダ1部フィテッセや、オーストラリア1部パース・グローリーFCで海外経験のある太田氏は「全然珍しくない」と文化の違いに言及。フィテッセ在籍時には「自分も馬鹿にしたような感じでチャイニーズ、モンキーの単語はめちゃくちゃ言われました」と、過去の体験を思い起こす。

「僕が海外に行った時点で、海外でプレーする日本人選手はすでに多くいましたし、『そういう差別的な声というのは、結構あるもんなんだな』と逆に発見でもありましたね。もちろん驚きましたし、なくなってほしいと切に願っています」

 今回の久保の件については「あれだけスペインで活躍しているからこそ、差別の対象になってしまうくらい相手サポーターの嫉妬や妬みを受ける存在になったのでしょう。ある意味一流の証ではありますが、こういった事案はなかなかなくならないのでしょうね」と、存在価値を高めているからこそ受けた被害でないかと想像していた。

「文化というか、根付いているものもありますよね。多分アジア人以上に、それこそ南米やアフリカの選手たちには僕たちの知らないところでたくさんそういった経験があると思います。もちろんそれがゼロになれば理想だと思いますけど……。こういうのがずっと続くのは嫌だなというのはつくづく実感します」

 こうした被害にも屈せず、久保は今シーズンさらなる活躍を見せる。現地時間2月13日のUEFAヨーロッパリーグ(EL)プレーオフ1stレグミッティラン(デンマーク)戦では、キレのあるカットインから1月16日以降遠ざかっていたゴールも決めた。

「今夏はソシエダが久保を売る絶好のタイミングじゃないですか」と、太田氏は久保のビッグクラブ移籍の可能性に目を輝かせる。「移籍金も凄いことになりそうですよね。どこになるか楽しみにしています」と、かつてFC東京で共闘した23歳の未来に期待を抱いていた。

(FOOTBALL ZONE編集部)



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太田宏介

太田宏介(おおた・こうすけ)/1987年7月23日生まれ。東京都出身。FC町田―麻布大学附属渕野辺高―横浜FC―清水エスパルス―FC東京―フィテッセ(オランダ)―FC東京―名古屋―パース・グローリー(オーストラリア)―町田。Jリーグ通算348試合11得点、日本代表通算7試合0得点。左足から繰り出す高精度のキックで、攻撃的サイドバックとして活躍した。明るいキャラクターと豊富な経験を生かし、引退後は出身地のJクラブ町田のアンバサダーに就任。全国各地で無償のサッカー教室を開校するなど、現在は事業を通しサッカー界への“恩返し”を行っている。

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