町田に蔓延るCB離脱ショック…苦渋の4バック回帰か、「緊急補強もある」【コラム】

町田の黒田監督【写真:森 雅史】
町田の黒田監督【写真:森 雅史】

昨季躍進の町田にいきなり試練、2人のCB負傷離脱で立ち込める暗雲

 Jリーグが開幕して早々というのに、去年旋風を巻き起こしたFC町田ゼルビアが苦境に立たされている。

【PR】ABEMA de DAZN、日本代表選手の注目試合を毎節2試合無料生中継!

 町田はJ1リーグに初昇格した2024年、躍進をみせた。第4節で首位に立つとずっと上位をキープ。最終的には3位になったが、それでも初昇格チームとしての最高位記録を打ち立てた。

 だが今年は開幕戦でいきなり敗戦。相馬勇紀の素晴らしいドリブルからのシュートで先制しながら逆転負けしてしまった。もっとも相手が去年2位のサンフレッチェ広島で、しかもシーズンはまだ始まったばかり。それなのに、すでに前途に暗雲が立ち込めている。

 昨シーズン連敗した広島にまた負けたから、というわけではない。むしろ昨季は手も足も出なかった感のある広島が相手だったことを考えると得るものはあったようだ。

 第2節、FC東京のアウェー戦を2日後に控えて、黒田剛監督は第1節をこう振り返る。

「多分、選手たちもすごく手応えを感じていたと思うし、それだけに悔しい結果ではあったけど、でも、すごく明るい兆しも見えた。去年は差をすごく感じた広島やヴィッセル神戸の試合だったんだけど、今年は全然そういうこともなく、逆に、アウェーで戦うことを楽しみにできるぐらいの感じだった」

 そう言いながらも表情は暗い。理由は明白だ。広島戦の前半20分に岡村大八が、後半8分には菊池流帆が負傷して交代を余儀なくされた。今シーズン準備してきた3バックで、2人の新戦力をいきなり失ってしまったのだ。

 実際、チームは後半14分、32分と失点を喫してしまった。そして立て直せないままに残り時間を過ごさなければならなかった。

「3枚のうちの2枚っていうのは、ちょっと異常なぐらい大変なことではあるんだけど、でもそれもサッカーなので。すごく不安からのスタートにはなってしまったけれど、選手たちがどう奮起し、しっかりと(穴を)埋めることもそうだし、回復することもそうだし、いろんな状況も考えながら次の試合は準備したいと思います」

 町田は2024年の終盤、3バックにしたことで安定を取り戻した。黒田監督としてはその時の経験も踏まえ、今年は3バックをメインシステムとして考えてきたのだろう。1試合目でその構想が崩れる危機は考えていなかったに違いない。

 広島戦は右にドレシェビッチを投入し、左にはウイングバックの中山雄太を下げて3バックを再構築した。昨シーズンから在籍しているメンバーだったが、スクランブル発進にぎこちない感じは否めなかった。

 負傷した2人が次節も使えない場合、またも町田は3バックの攻勢に苦しむことになる。第1節では中山と相馬のコンビネーションが攻撃をリードしていたことを考えると、守備のみならず攻撃面でも停滞してしまうことも予想される。

アウェーのFC東京戦へ…ピンチを乗り切る策はあるか

 もっとも、実は町田にはオプションがある。昨シーズン、もっとも使ったシステムである4バックに戻すことだ。右から望月ヘンリー海輝、ドレシェビッチ、昌子源、中山と並べることも考えられる。

 4バックに戻す可能性を聞かれた黒田監督はちょっと口ごもりながら、「去年の選手たちはそのままいるんでね。何が起こってもいいように、そういうこともいろいろ考えながらやっている」と明かした。

 また、去年のシーズン途中から新人の望月を起用するようになったことなど、大抜擢があるかもしれない。その点については、「分からないけれど、まだまだレギュラーも決めてないから。また今日話して、明日ぐらいにどうするか決めたい」と、言葉を濁した。

 この日の練習は非公開。「(どの選手が)いるもいないも情報が相手に入る以上(詳しい説明は)ダメだからね。4バックも大いにあるし、緊急補強という方向もある。まだね、3月31までは(移籍期間が)あるから」と監督は言う。

 昨シーズン、黒田監督は冗談めかして報道陣に語ったことを試合で実行したこともあった。この日の監督に笑顔はほとんどなかったため、余計に腹の内を探ることは難しかったが、シーズン開始早々のピンチを乗り切るためにどんな戦術の引き出しを開けてくるのか、見ているほうは楽しみな試合になるに違いない。

(森雅史 / Masafumi Mori)

page 1/1

森 雅史

もり・まさふみ/佐賀県出身。週刊専門誌を皮切りにサッカーを専門分野として数多くの雑誌・書籍に携わる。ロングスパンの丁寧な取材とインタビューを得意とし、取材対象も選手やチームスタッフにとどまらず幅広くカバー。2009年に本格的に独立し、11年には朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の平壌で開催された日本代表戦を取材した。「日本蹴球合同会社」の代表を務め、「みんなのごはん」「J論プレミアム」などで連載中。

今、あなたにオススメ

トレンド

ランキング