9年ぶり出場「声裏返って」「飛距離が出ず」 後輩はチャントいじり…34歳GKの反省と収穫

3191日ぶりに安藤が公式戦に出場
川崎フロンターレに所属するGK安藤駿介は2月18日に行われたAFCチャンピオンズリーグエリート(ACLE)リーグステージ第8節のセントラル・コースト・マリナーズ戦に先発出場し、2-0の完封勝利に貢献した。川崎の下部組織出身の守護神にとっては、2016年5月25日のナビスコカップグループステージ最終節の仙台戦(2-1)以来、実に9年ぶりの公式戦出場だった。
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9年と言えば義務教育が始まり、終わるだけの期間だ。前回、試合に出場した当時26歳だった安藤だが、現在は34歳となっている。先発を前日に聞いたという安藤は、その時の心境について「すごく久々なんですけど、背伸びせずにやろうかなというのと、自分がやってきたこと以外は出ないと思うので、それを100出せればいいかなと思っていました」と語った。
2013年シーズンに湘南ベルマーレにレンタル移籍した以外は、ずっと川崎で出場機会を待ち続けた。「長かったですけど、自分のなかのこだわりで、このチームでずっとやり続けてきたことが、今日の試合につながった。どこかに行って帰ってきてではなく、ずっとここでやり続けてチャンスをもらえたことが、自分にとっては大きかった。とにかく自分がやれることはやる。やれることを100%でやれば、良い準備は必然的にできると思うので、そこは怠ることなくやってきたつもり。あとはこうやってチャンスがある時に、自分が怪我をしたり、体調不良だったりしてチャンスを逃すことがないようにと思っていてそれができたのは良かったです」と、この期間、手を抜くことなく出番を待っていたと語った。
チームのいじられ役でもあるベテランは、ジムで音楽が途切れた時などは、後輩たちに自身のチャントを流されることもあり、この試合の前にも年下の選手たちから「久々に(本物の)チャントが聞けるわ!」「いよいよデビューだ」などとイジられたりもしたという。だが、同時に常に手を抜かずやってきた安藤の大事な試合を、無失点で終えることへのモチベーションも高まっていた。
安藤自身も90分プレーしたからこそ、感じられた反省もある。「あまり軸足が入っていかなくて、(ゴールキックは)飛距離が出なくてチームにちょっと迷惑をかけてしまった。ゲーム体力だったり、90分出たのも前回の試合ぶりなので、しっかりまた練習して、そういう隙を見せないプレーヤーになっていきたい」と、あらためて課題を口にした。
枠内シュートゼロも「枠にこさせないような声掛けをしたつもり」
それでもチームメイトにも助けられて、残した無失点という結果。「枠内シュートゼロなんで一概には(活躍したと)言えないですけど」と前置きしつつも、安藤は「枠にこさせないような声掛けをしたつもりですし、前半から声はめちゃくちゃ裏返っていたので、試合が終わってからみんなにイジられましたけど、声掛けの部分とか細かいところまで指示を出すのは、自分の強みだと思うので、それはこれからも変わらずにやっていきたいなと思います」と、絶え間なく続けていたコーチングについて語った。
あらためて3191日ぶりの出場について「こういう(サッカー)選手もいるんだよと示せたと思う。フロンターレだけじゃなく、ほかのチームでもなかなか出場機会をもらえていないGKもいると思う。そういう人たちにも希望になったと思う」と、その意義を語った。
普段は仲間にイジられる形で耳にする自身のチャントをスタジアムで生で聞けたことに「最後に試合が終わって挨拶した時の声援もありがたかった」と目を細めた守護神。「ただ、ほかの選手からしたら普通の1試合なので、そういう思いに浸っている場合じゃない。それでも自分にとっては大きい1試合であったのは間違いない」と、感慨を口にしながらも、始まったばかりの新シーズン、次の出場機会獲得に気持ちを切り替えた。