中井卓大のレアル→期限付き移籍で注目 元代表や逸材ら日本人6人…競争熾烈なスペイン4部とは?【現地発コラム】

競争力が高いスペイン4部、1部に引き上げられる選手も
スペインの名門レアル・マドリードと2025年夏まで契約を結んでいる21歳MF中井卓大は、2月1日に期限付き移籍先だったプリメーラRFEF(3部)アモレビエタとの契約を解除し、今季終了までセグンダRFEF(4部)ラージョ・カンタブリアに期限付き移籍することが決定した。
4部が日本のどのカテゴリーと同レベルなのかを測るのは簡単ではないが、プリメーラ(1部)やセグンダ(2部)のクラブのBチームが多数在籍していることや、このレベルから1部に引き上げられた選手がいること、昇格争いが熾烈を極めることを考慮すると、競争力は非常に高いと言えるだろう。
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90チームで構成される4部は5グループ、各18チームで構成されている。そこから3部に昇格できるのはわずか10チーム。各グループの優勝チームが自動昇格し、2~5位の20チームは残り5枠を懸けてプレーオフを争うことになる狭き門だ。
ラージョ・カンタブリアと同じグループ1には、バジャドリードやデポルティーボ・ラ・コルーニャのBチーム、さらにかつて1部に所属していたヌマンシアもいる。その他のグループには、マジョルカ、ヘタフェ、アラベス、エスパニョール、バレンシア、サラゴサ、エイバル、アルメリア、グラナダ、テネリフェのBチームが属している。
現在バレンシアの中核を担うハビ・ゲラやクリスティアン・モスケラ、セサル・タレガなどは、少し前までこのカテゴリーでプレーしていた。今季もマジョルカやバレンシアなどのBチームから1部デビューの夢を果たした選手たちが何人もいる。
下部組織育ちでラージョ・カンタブリアを経て、大きく羽ばたいた選手として、古くはレアル・マドリードのレジェンドであり、同クラブの名誉会長を務めたフランシスコ・ヘント、近年ではスペイン代表やレアル・マドリードで活躍したイバン・エルゲラ、パブロ・ムニティス、セルヒオ・カナーレス(現モンテレイ=メキシコ)などが挙げられる。現在FCバルセロナに所属するパブロ・トーレもこのクラブ出身である(※ラージョ・カンタブリアでは1試合のみ出場)。
39歳のベテテンから21歳の若武者まで、6人の日本人が4部でプレー
今季のスペイン4部では中井のほかに5人の日本人選手がプレーしている。
グループ1では、中井と同い年のFW石塚大地アントニオ(21歳)がヌマンシアに所属。2年前に鹿島学園で全国高校サッカー選手権大会出場の後スペインに渡り、今季2年目を過ごしている。
グループ2では、元日本代表のDF丹羽大輝(39歳)がアレナスでプレーしている。ガンバ大阪や徳島ヴォルティス、FC東京などのJクラブを経て、35歳となった2021年からスペイン挑戦を開始。セスタオ・リーベルで4部を戦い、2季目に3部昇格に貢献。昨季アレナスに移籍した。
グループ3では、CEエウロパに日本人選手が2人所属している。FW根本息吹(22歳)はこれまでカタルーニャ州を拠点にプレーし、今季CEエウロパのBチームに加入。前半戦の活躍ぶりが認められ、先月トップチームに昇格した。
アンダー世代の日本代表に選ばれたことがあるFW勝島新之助(21歳)は、徳島ヴォルティスからジローナBに半年間のレンタルの後、昨季完全移籍。今冬の移籍市場でCEエウロパに半年間のレンタルで加入している。
グループ5では15歳でスペインに渡ったMF吉村祐哉(26歳)が、ラージョ・バジェカーノの下部組織やテネリフェBなどを経て、今季からコンケンセに加入した。国王杯1回戦で久保建英が招集外だったレアル・ソシエダ戦でフル出場。延長戦で惜しくも敗れたものの、前線から素晴らしいプレスをかけチームに貢献した。
4部に計6人の日本人が在籍するなか、2月9日に行われたアウェーの第22節レアル・アビラ戦(0-4)で背番号8のユニフォームをまとい、新天地デビューを飾った中井。若武者の新たな挑戦に注目が集まる。
高橋智行
たかはし・ともゆき/茨城県出身。大学卒業後、映像関連の仕事を経て2006年にスペインへ渡り、サッカーに関する記事執筆や翻訳、スポーツ紙通信員など、スペインリーグを中心としたメディアの仕事に携わっている。