ドルトムントのバス爆破事件、ドイツ当局が容疑者1名を逮捕と発表
過激派組織の関与の可能性が高まるなか、2名の容疑者を特定
日本代表MF香川真司の所属するドルトムントは現地時間12日、UEFAチャンピオンズリーグ(CL)準々決勝第1戦、本拠地モナコ戦の直前にチームバスが爆発に巻き込まれた。試合は1日延期となり、爆発の衝撃でスペイン代表DFマルク・バルトラが右手を骨折し緊急手術を受けるなど、サッカー界を震撼させる事件となった。過激派組織「イスラム国(IS)」など、イスラム教信者による犯行の可能性が高まるなか、ドイツ当局は容疑者1名を逮捕したことを発表した。衛星放送「スカイ・スポーツ」が報じている。
事件が起きたのは12日の試合開始1時間半ほど前、ドルトムントがスタジアムから10キロほど離れたホテルを出発した直後のことだった。バスがメインストリートに出た直後、生け垣に隠してあった爆弾が3度爆発した。バルトラの隣に座っていたGKロマン・ビュルキの証言によれば、大きな爆発の衝撃で割れた窓ガラスの破片がスペイン代表CBに直撃。バルトラは右手を骨折し、手術を受けた。
ドイツの連邦検察官のフラウケ・コーラー氏は今回のバス爆破事件に伴い、2名の容疑者を特定。うち1名を家宅捜査の末に逮捕したと発表した。いずれもイスラム過激派だという。爆破事件の現場に残されていた犯行声明には、イスラム教の聖典「コーラン」で各章の冒頭に使われるのと同じメッセージが記されていた。「慈悲あまねく慈愛深きアッラーの御名において」という言い回しで、犯行声明文は書き出されていたという。
さらに昨年12月、過激派組織「イスラム国(IS)」が犯行声明を出したベルリンでのクリスマス・マーケットにおける大型トラック突入テロ時に発見されたものと同じ内容で、さらに捜査が進められることになる。
2015年11月13日にはパリ市内の同時多発テロ事件が起き、フランス代表とドイツ代表の試合会場となったスタッド・ドゥ・フランスでも爆破事件が起きた。ドイツ代表の宿舎にも爆破予告が届くなど、サッカー界もテロ禍に襲われていたなかで、今回は香川を含めたドルトムントの選手、スタッフが乗ったバスが標的となり、バルトラが右手骨折の大怪我を負うことになった。サッカー界もテロの恐怖と戦っている。
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フットボールゾーンウェブ編集部●文 text by Football ZONE web
ゲッティイメージズ●写真 photo by Getty Images