国立で2年越しの”ストーリー” 想定通りの120%…明暗分かれた因縁対決「主役が清水であってはいけない」

清水は国立で東京Vと対戦し1-0で勝利
国立競技場に5万5000人を超える大観衆を集めて行われた2月16日のJ1リーグ開幕戦は、清水エスパルスが東京ヴェルディに1-0で勝利した。両チームの監督は明暗を分けた要素を「ストーリー」として、J1参入プレーオフ決勝の再戦だったことを挙げた。
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清水は22年にJ2への降格となり、23年に1年での復帰を目指した。一方の東京VもJ1昇格を目指す戦いの中、東京Vが3位、清水が4位でリーグ戦を終えて参入プレーオフの戦いに。共に初戦を勝利して、国立競技場で両者がJ1の切符を目指して戦った。そのゲームは清水が先制点を奪い試合終了間際まで進んだが、後半アディショナルタイムにペナルティーエリア内のファウルで東京VにPKが与えられる。それが決まり1-1の引き分けに終わり、リーグ順位により東京Vが昇格を決めた。そして24年に清水が昇格を決め、同じカード、同じ舞台で25年の開幕戦となった。
東京Vの城福浩監督は「このカードが決まった時に、主役が清水であってはいけないと思っていた。我々のホームなので。メンタル的には出ていた清水の選手が120%の力を出してくるのは容易に想像ができた。我々がJ1に先に上がったから迎え撃つなんていう試合になっては、局面のところで勝てないと思っていた。今日の清水のサポーターの数しかり、バスが入ってくる時の囲みしかり」と、準備段階から試合前の雰囲気まで警戒感を持っていたと話す。
一方、清水の秋葉忠宏監督も、そのストーリーを1つの要素と見て準備を進めたという。その一例が先発FWのチョイスにあったとして、「これはなかなか選手には言いづらいけど、23年のストーリーがありましたから。あの悔しい思いをした選手たちが何がんでもやってくれるんじゃないかという思いがありましたから。(ドウグラス・)タンキやアフメド(・アフメドフ)も考えられましたが、感情の部分だけでなくトレーニングの姿勢やパフォーマンス、90分の色々なことを想定して北川がベストだと判断した」と話した。
このゲームは城福監督の危惧した通りにボール際の局面勝負は清水が優勢に進めた。そして、前半40分の決勝ゴールを決めたのは北川だった。まさに出来過ぎたストーリーのような展開になったが、城福監督は「この試合の特別感という部分で相手を下回らない、上回れるような準備をしてきたつもりだったが、局面の戦いを含め、清水さんのストーリーの中でゲームをやってしまった。それは本当に悔しい部分であり、僕の準備の至らなさだと反省している」と厳しい表情で語った。
もとより1993年のJ1創設時の”オリジナル10″同士であり、その前年にプレ大会として行われた第1回のヤマザキナビスコカップ(現ルヴァンカップ)の決勝カードでもある。数々の名勝負を演じてきた緑とオレンジの名門対決だが、23年のJ1昇格プレーオフという大きな節目を経て新たな因縁カードとしてJリーグを彩っていくことになりそうだ。