出番ゼロから一転…J1で念願叶え「夢だった」 26歳“逆輸入GK”スタメン抜擢への思い

川崎の山口瑠伊(写真は2024年撮影)【写真:Getty Images】
川崎の山口瑠伊(写真は2024年撮影)【写真:Getty Images】

スタメン抜擢の川崎GK山口瑠伊、好パフォーマンスで開幕戦勝利に貢献

 川崎フロンターレは2月15日のJ1開幕戦で名古屋グランパスを4-0で下し、長谷部茂利新監督の下、AFCチャンピオンズリーグエリート(ACLE)に続き、公式戦2連勝スタートを飾った。この2試合でGKのスタメンに立ったのは、昨季までJ1で出番ゼロだったGK山口瑠伊。この日、念願のJ1デビューを飾り「ほんとに嬉しい」と、頬を緩めた。

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 長谷部新体制の川崎は、11日に行われた浦項スティーラースとのACLEで4得点を奪い、完封勝利を飾った。韓国でのアウェー戦、GKで先発起用されたのは絶対的守護神に君臨してきたチョン・ソンリョンではなく、昨季途中にFC町田ゼルビアから加入していた山口だった。

 フランス人の父と日本人の母を持つ26歳は、スペインのエストレマドゥーラでプロデビューし、22年にJ2の水戸ホーリーホックへ移籍。2シーズン在籍し、60試合以上ゴールマウスを守った。一方で昨年は町田、川崎で出番ゼロ。この大抜擢は少なからず衝撃を与えた。もちろんそこには理由がある。

「2人(チョン・ソンリョンと山口)とも非常に良いです。今一緒に練習している4人、非常に良いんですが、ACLで0失点に抑えた。ボールはあまり来ませんでしたけれども、安定した力を出していた。キャンプからずっと練習をし続けて、良い状態を保っていたので出場させました。良かったです。今日も行ってみようという風な考えで、コンディションのところも非常に良かったので出場させました。非常に良かったと思います」(長谷部監督)

 90分を通じて危なげないパフォーマンスだった。前半、名古屋の永井謙佑にポスト直撃の際どいシュートを浴びたが、それ以外は安定感際立つセービングに加え、正確なフィードでも存在感を発揮。「シュートが来ない中でもやっぱり集中力を絶対切らしちゃいけない。そこはしっかりやれたかな」という山口は、改めて勝利の喜びを噛みしめた。

「J1デビューはほんとに小さい頃から夢だったので、4-0で勝てたのはほんとに嬉しいなって思います。ACL出たあとに、やっぱりJ1も出たいなっていう思いだったんで、スタメンが出た時はすごく嬉しかったです」。安堵が入り混じったその表情には、充実感が満ちあふれていた。

 昨季から改めたところは「特にないです。自分のプレーに集中するっていうところをずっと前から意識してる」ときっぱり。それでも、GKのハイレベルなレギュラー争いに打ち勝つべく、地道にアピールに努めてきた。

「僕の中ではやっぱり自分の良いところをキャンプで示せたのが大きかったかなと思っています。技術もそうですし、振る舞いも含めて、すべてです」。チョン・ソンリョンの牙城はとてつもなく高かった。だが、そこで屈したくないという強い思いが、このチャンスを引き寄せた。

 まだ公式戦2試合を戦ったに過ぎないが、その言葉には自信も覗く。「ここからが大事になってくると思うので、しっかり結果で示したいですし、期待に応えたい」。“逆輸入GK”はさらなる飛躍を遂げるべくその視線を先に向けた。

(FOOTBALL ZONE編集部・橋本 啓 / Akira Hashimoto)



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