J1→J3移籍で「落ちぶれていくのか」 周囲の雑音シャットアウト、発表2日前に下した決断【インタビュー】

大宮の杉本健勇【写真:FOOTBALL ZONE編集部】
大宮の杉本健勇【写真:FOOTBALL ZONE編集部】

杉本健勇へ独占インタビュー

 RB大宮アルディージャが2月15日、J2での戦いを始める。FW杉本健勇は昨季加入して、2年目。今季は完全移籍して大宮のJ1復帰を目指す。エースが抱く胸の内に迫った。(取材・文=FOOTBALL ZONE編集部・小杉舞)

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 昨年1月9日、大宮から杉本の期限付き移籍加入のリリースが発表された。そのわずか2日前に決断した移籍だった。ジュビロ磐田からJ3である大宮をなぜ新天地に選んだのか。

「必要としてくれていましたし、かなりずっと待ってもらっていた。一から自分を見つめなおす、自分にとってはいい場所なのかな、と。正直、(大宮は)最初の選択肢としては一番下だった。結果論ですけど、本当に来て良かったと思う」

 杉本の決意を変えたものは何だったのか。J1でプレーしていた杉本がカテゴリを2つ下げるということ。元日本代表としてのプライドももちろんあった。だが、これこそが背水の陣。自らをその状況に追い込んだ。

「ここでダメだったら終わりやなと。そこに身を置けて自分がプレーできたということは本当に得るものが多かった。やるしかない状況で、本当に必死だった。いろんな人から『ここじゃないだろう?』みたいなことはすごく言われたんですけど。実際はめっちゃ悔しかった。でも今の俺には必要なこと、毎日悔しかったけどやらなあかんと思っていた」

 セレッソ大阪のアカデミー出身で将来を嘱望され、ロンドン五輪に出場。川崎フロンターレや浦和レッズ、横浜F・マリノスなど渡り歩いたが、2017年にC大阪で挙げた22ゴール以降はなかなか2桁得点を達成できなかった。23年は横浜FMで8試合1得点。翌年に大宮行きを決断した。34試合10得点。この数字は杉本自身を取り戻してくれた。

「いい意味でゼロだった。結果を残せばチームが勝てる。シーズン中もうまくいかないことがあったら何回も自分に言い聞かせて『このまま落ちぶれていくのか』って。人のせいにせず、言い訳せず、常に自分のフォーカスすると決めた。自分だけ点を取ればいいというスタイルからいかにチームのためにプレーできるか。正直それに気付いたのは最近、ここ2、3年なんですけど……。でももう(10得点も)過去のこと。全然満足していない」

 今年はもちろん優勝が目標。モンテディオ山形との開幕戦はレッドブル社グローバルサッカー部門の責任者であるユルゲン・クロップ氏も視察する。

「勝ちたいからね。どの役割を求められてもそのタスクをこなせる選手になりたい」

 杉本が目指すのは献身的な姿。32歳になり、周囲が頼れるリーダーになった。「いまだにね、感情が爆発する時は全然あるんですけどね(笑)。チームメイトも止めてくれるし、真剣に周りと向き合えている」。心に灯る炎を燃やし続け、杉本は今季も走り続ける――。

(FOOTBALL ZONE編集部・小杉 舞 / Mai Kosugi)



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