2度目の戦力外…妻まで「傷つけてしまうのかと」 古巣との対戦で流した“特別な涙”【インタビュー】
![水戸の松原修平【写真:Getty Images】](https://www.football-zone.net/wp-content/uploads/2025/02/11153817/20250211-Shuhei-Matsumoto-GettyImages.jpg)
水戸の松原修平、2度目の戦力外は「14年のサッカー人生で一番きつかった」
水戸ホーリーホックのGK松原修平が、今シーズンから新キャプテンに就任した。昨季は北海道コンサドーレ札幌から加入し、リーグ戦26試合に出場。32歳にしてブレイクを果たしたが、ここまでに2度の戦力外を経験するなど平坦な道のりではなかった。(取材・文=FOOTBALL ZONE編集部・工藤慶大/全3回の2回目)
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札幌の下部組織を経て、2011年にファジアーノ岡山と契約。セカンドチームのファジアーノ岡山ネクストで経験を積んだが、2016年には契約満了を味わった。「今思えば苦労ではなく必要だったことかなと思うんですけど、岡山で全くJリーグに出られず契約満了になったときはしんどかったです」と振り返る。
その後、トライアウトを経てカマタマーレ讃岐に入団。ザスパ群馬、湘南ベルマーレ、再び群馬と渡り歩いた。しかし、J2で17試合に出場した2021年に2度目の戦力外。「14年やってきたサッカー人生で一番きつかった。そこそこやれる手応えもあったので、そこでクビを切られるのがきつかったです」という。
「当時もう29歳だったので、仕事なくなる、もうサッカー選手は無理だと思いました。1人ではないというか家庭を持ってしまったので、自分が実力不足なだけで横にいる人まで傷つけてしまうのかと思うと、すごくつらかった。仕事がなくなってしまうのがもどかしいというか、申し訳なかったと思いました」
ところが、開き直って楽しんだというトライアウトでは好結果を残す。京都サンガF.C.と契約し、2022年3月には地元の札幌に移籍。2024年からは水戸と波乱万丈のサッカー人生を送ってきた。8クラブを経験してきたが、どこに行っても愛されてきただけに、古巣との対戦では特別な思いがあふれたこともあった。
2024年8月25日にホームで行われた群馬戦。2-1の勝利に貢献したが、試合後に涙が止まらなくなった。「嬉しくて泣いたというより、感情がぐっちゃぐちゃになっちゃって。喜びたい気持ちもあったし、群馬に頑張ってほしい気持ちもあったし、今後もライバル同士で行きたいという気持ちもあった」という。
「当時は間違いなく群馬にずっと残ると思っていた。群馬のために生きていきたい、プレーしたい気持ちもあったし、群馬で出会った妻もそうだし。いずれ家も建てたいなと思っていたクラブで戦力外になって、やっと対戦して勝てて。
僕の顔馴染みのあるサポーターたちが悲しんでいて、逆に水戸のサポーターは喜んでいて……。すごく複雑な思いもあったし、自分のなかではなんか言葉には言い表せないような気持ち悪い感情がすごくありましたね、あの時は」
そして今季、対戦を控えるのは地元の札幌。「群馬と同じような感情になると思いますけど、赤黒の集団からブーイングを受けるような嫌らしい、憎たらしいGKになれれば。試合後の挨拶に行った時には拍手で迎えていただければ嬉しいです」。多くの困難を乗り越えたからこそ見ることができる景色がある。
(FOOTBALL ZONE編集部・工藤慶大 / Keita Kudo)