欧州5大リーグ全96クラブ「1試合平均得点」 驚異の「3.10」…追随の名門が異彩【コラム】
![欧州5大リーグでゴールを量産するビッググラブ【写真:ロイター】](https://www.football-zone.net/wp-content/uploads/2025/02/09150923/20250209_EUROPE-TOP4-Reuters.jpg)
名門クラブが上位にランクイン…リーグ内の力量差も影響
欧州5大リーグで最も得点を取っているのは今のところブンデスリーガ首位のバイエルン・ミュンヘン。20試合で62得点、1試合平均で3.10という破壊力である。2番目はラ・リーガで60ゴールのFCバルセロナ、試合平均は2.73。以下、パリ・サンジェルマン(PSG/2.70)、インテル(2.55)、レバークーゼン(2.45)、リバプール(2.43)。
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ちなみにPSVは21試合68得点(試合平均3.23)でバイエルンを上回っていて、スポルティングは平均2.80でバルセロナを上回っているが、このあたりはリーグの性質にも関係するだろう。上位と下位の差が大きいほど上位チームの得点は多くなる。プレミアリーグで首位を走るリバプールだが、平均得点ではバイエルン、バルセロナ、PSG、インテルに及ばず、レバークーゼン(試合平均2.45)より取れていない。プレミアがそれだけ力の差が小さいリーグだからではないかと思う。
ではUEFAチャンピオンズリーグ(CL)はどうか。リーグフェーズ8試合が終了してトップのリバプールの得点は17点。それぞれ対戦相手が違うとはいえ、実は意外と得点できていない。得点力トップは35ゴールを叩き出したバルセロナだ。8試合の成績ではリバプールに次ぐ2位。続く22ゴールはボルシア・ドルトムント、成績は10位でプレーオフに回っている。20得点はアトレティコ・マドリード(5位)、アタランタ(9位)、レアル・マドリード(11位)、バイエルン(12位)。アトレティコ以外はすべてプレーオフでストレートインできていない。得点数上位で8位以内なのはバルセロナだけで、CLでは得点力より失点の少なさがモノを言うようだ。
インテルが驚異的な1失点(4位)、アーセナル3失点(3位)、リバプール5失点(1位)。6失点のアストン・ヴィラ、7失点のレバークーゼンはともに8位以内、リールも10失点の堅守で7位だった。
オランダリーグで68得点のPSVはCLでは16得点にとどまり、国内では試合平均3点以上だったがCLでは平均2点だった。スポルティングもCLでは13得点。このあたりは対戦相手の差と思われる。インテルは11得点とセリエAでの得点力を発揮していない代わりに、たった1失点しかしておらず国内とは違う顔を見せている。
国内とCLで着実に得点を重ねているのは? 保持勢の中で異質な存在
国内、CLのトータルで着実に得点を重ねているのはバルセロナだ。ロベルト・レバンドフスキはラ・リーガでトップの18得点。CLでもセール・ギラシ(ドルトムント)と並ぶ9得点で最多である。さらにCL8得点のラフィーニャがいる。ラ・リーガでも12得点でランキング3位。レバンドフスキ、ラフィーニャというゴールゲッターの存在は大きいが、それ以上にボールを保持してチャンスを作る能力が優れている。
全体的に厳しい戦いを強いられている保持勢の中で、バルセロナは異質な存在と言えるだろう。前へ速くという攻め方が多いなか、バルセロナはバックパスを多用する。下げてボールを確保するとともに、それで相手を前のめりにさせての前進が上手い。シャビ、イニエスタ、メッシ、ブスケツらが揃った黄金時代には遠く及ばないものの、相手のパワー、スピード、ハードワークを逆用して前進するパスワークの伝統は受け継がれているようだ。
ただ、バルセロナは失点も多いのでラ・リーガでは3位、CLリーグフェーズでも2位だった。おそらく欧州で最も得点力の高いチームだが、この先どういう結果になるのか興味深い。
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西部謙司
にしべ・けんじ/1962年生まれ、東京都出身。サッカー専門誌の編集記者を経て、2002年からフリーランスとして活動。1995年から98年までパリに在住し、欧州サッカーを中心に取材した。戦術分析に定評があり、『サッカー日本代表戦術アナライズ』(カンゼン)、『戦術リストランテ』(ソル・メディア)など著書多数。またJリーグでは長年ジェフユナイテッド千葉を追っており、ウェブマガジン『犬の生活SUPER』(https://www.targma.jp/nishibemag/)を配信している。