広島MF中島は「次のソニーになるのでは」…トルガイも一目置く

　富士フイルムスーパーカップが2月8日に国立競技場で行われ、サンフレッチェ広島がヴィッセル神戸に2-0で勝利した。この日、ゴールを決めたMFトルガイ・アルスラン、DF荒木隼人の2人は、試合後のミックスゾーンで異口同音に中盤の一角を担った18歳のMF中島洋太朗を絶賛した。

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　トルコとドイツの年代別代表経験者であるアルスランは、「今のうちに洋太朗の一挙手一投足をしっかりと目に焼き付けていただきたい。なぜかというと、彼は多分あまりJリーグで長くプレーせずに、すぐに海外に行くと思っているからです」と切り出した。

「去年はあまり一緒にプレーする機会はありませんでしたが、気にかけて声はかけていました。それは彼がこの数年間見てきたほかの選手たちと比べ物にならないほど、素晴らしい才能の持ち主だからです。アジアにとって、次のソニー（ソン・フンミン）になるのではないかと思っています」と、過去に4度のAFCアジア年間最優秀国際選手賞を受賞したアジア最高峰のスターの後継者になるとまで、その才能を高く評価した。

　具体的に、ほかの選手たちと何が違うのか。アルスランは世界的な名手の名前を出しつつ、彼の感じている中島の才能について語った。「今のサッカーをプレーするためには、スピードも必要ですし、力強さも必要です。10年前の選手とは違います。（元イタリア代表MFアンドレア・）ピルロや（元スペイン代表MFアンドレス・）イニエスタのように、ボールに愛された選手はほとんど見られなくなりました。ユース年代であっても走ることやハードワーク、フィジカルが求められるようになったからです」と時代の流れを指摘しつつ「でも、彼（中島）はそれを両立できます。ボールに触れると全然違う。これだけの選手は過去5年、6年、７年、見たことがありませんでした」と絶賛している。

　荒木も「（中島は）天才ですよ。18歳じゃないです」と言ってから、軽くため息をついて「すぐいなくなっちゃうのかなって」と、アルスランと同様に欧州へのステップアップが近いと予見した。

　そして「俺がすごいと思うのは、すごく謙虚ですし、自分に足りていないと頃を常に意識して練習に取り組んでいる。それを18歳のあれだけの天才ができるのは、化け物だなと思います」と、日常的な姿勢に驚いていると明かした。

　さらに荒木は「もちろん技術的な面ですけど、おそらく彼自身、しっかり未来を見据えて一歩ずつ上っていく過程をきちんと自分の頭のなかで整理できているのかなというのは、一緒にプレーしたりして感じますね。すぐに『海外に行きたい』というのではなくて、しっかり着実にステップアップしていく。そのために何が必要なのかを常に考えてやっているのかなと思います」と、自身の土台を固めているという印象を語った。

佐々木は中島を「とんでもない選手」と表現

　2人が夏の欧州移籍を覚悟していると話していたことを伝えると、元日本代表DF佐々木翔も「すごいの一言ですよ。（行くん）じゃないですか？　だから、これからU-20アジアカップに行きますよね？　あんまり良いプレーするなって思っています（笑）」と、欧州のスカウトの目にかからないように、活躍を控えてほしいという願望を冗談交じりに口にした。

　どんな選手になりそうかという問いには、「僕はほかの選手はあまり分からないので」と前置きをして、「でもまだ高校生だし、とんでもない選手だと思いますよ。あれを高校生でやってのける。誰よりも落ち着いていますし、上手ですし、それでいて戦えますし。本当に素晴らしい選手だと思います。まぁ、いつまでいることやらってところじゃないですか？」と、佐々木もやはり中島の近いうちの欧州移籍を覚悟していた。

　そして、「でも、本人も先を見すぎてどうこうっていうタイプじゃない。しっかり目の前のトレーニングや試合に向き合いながらできる選手だと思う。メンタリティー的にも、精神年齢的にも非常にタフでしっかりしているので、大丈夫じゃないですか？」と、自分を見失うタイプでもないとコメントした。

　チームメイトたちも別格という表現をためらわない中島。これまでに多くのチームメイトたちが海外へ旅立つ姿を見てきている広島の選手たちの言葉だけに信ぴょう性も高そうだ。まもなく開幕する2025シーズンのJリーグ。チャンスがあるならば、そのプレーを見ておくことを、強くお勧めする。