選手権で不発、2年生にのしかかる「やっぱり頼りない」 伝統のユニ纏い…蘇る苦い記憶
![滝川第二の9番を背負う空久保善【写真:FOOTBALL ZONE編集部】](https://www.football-zone.net/wp-content/uploads/2025/02/08141741/20250208_takigawadaini-ZONE.jpg)
滝川第二の新チームで背番号9、空久保善が味わった苦い思い
滝川第二高校(兵庫)の背番号9は特別な番号だ。日本代表として3度のワールドカップに出場し、歴代3位となる50ゴールを叩き出し、ミラクルレスターの一員としてプレミアリーグ制覇も経験したレジェンド・岡崎慎司が背負った番号である。
今年度の選手権に3大会ぶり22回目の出場を果たした際、チームは岡崎たちの高校時代に身に纏っていたユニフォームに戻した。選手権まではこれも滝川第二の創成期のユニフォームに近いデザインだったが、今年度からOBであり、岡崎の代はコーチとして携わっていた小森康宏監督が就任すると、選手権出場に合わせて、馴染みのある2代目ユニフォームデザインに変更した。
「昔に戻ったというか、テレビでよく見ていたユニフォームでもあるので懐かしいというか、昔の強い滝二と同じなので気持ちが入ります」
こう口にするのが、新チームの9番を託された空久保善だ。選手権では24番を背負ってFWとして全2試合にフル出場したが、1ゴールも挙げることができなかった。この悔しさを胸に新チームに切り替わるとともに、小森監督からエースストライカーとしての信頼を9番という形で託された。
「このユニフォームの9番というのはゴールでチームを勝たせる存在にならなければいけないということは理解しています」
その重みを背中に感じながら、彼はピッチに立っている。選手権決勝前日の1月12日、新チームの関東遠征を行なっていた滝川第二は、決勝進出を果たした流通経済大柏のセカンドチームと練習試合を行った。
結果は空久保が得意のフィジカルの強さと瞬間的なスピード、ゴールへ向かう推進力を見せて1ゴールを挙げたが、2-4の敗戦。課題を突きつけられる試合となった。
「選手権の初戦の山梨学院戦は何もできず、2回戦の東北学院戦では決定機を2回も作ってもらったのにそれを決めきれずに0-1の敗戦。3年生にとって最後の大会を2年生で出場させてもらったにもかかわらず、2回戦で終わらせてしまった。新チームでは絶対に今年を越えていかないといけないと意気込んでいますが、やっぱり僕はまだ頼りないと痛感しました」
苦い思い出だった。同時に伝統のユニフォームを身に纏う責任感を改めて感じる重要な機会でもあった。
「岡崎選手のプレーは選手権でも見ていた記憶があって、裏抜けとかシュートまで打ち切るプレースタイルは自分と少し似ているのかなと思って意識をしていました。でも、全国の舞台に立ってみて、やっぱり決定力をここで発揮できないと意味がないとも感じました。今はもう切り替えるしかありませんが、この悔しさだけは絶対に忘れてはいけないと思っています」
成長のきっかけを掴むことができた。実際にプレーを見ても、選手権の時よりも前へ仕掛ける姿勢は強くなり、前線で相手の懐に潜り込んでファーストタッチで前を向くプレーはキレが増していた。
「遠征中のミーティングで小森監督から『名門なら連覇していかないといけない』と言われたので、その気でいます。チームとしても個人としても、昨年以上の結果を残して越えていきます」
心身ともに頼れるエースストライカーに。空久保は先輩たちが巻き起こした名門復活の狼煙をさらに全国に示していく。
(FOOTBALL ZONE編集部)