ピッチで苛立ち「見とけよ!」 感情露わに猛省、変わった17歳が衝撃5発「高卒プロ狙いたい」
![日体大柏の小泉ハーディ(14番)【写真:FOOTBALL ZONE編集部】](https://www.football-zone.net/wp-content/uploads/2026/02/08134640/20250208_Koizumi-ZONE.jpg)
千葉の2強に割って入る日体大柏のFW小泉ハーディにブレイクの予感
千葉県の高校サッカーといえば、先日幕を閉じた高校選手権準優勝の流通経済大柏と、前回の選手権ベスト4の市立船橋という、ともにユース年代最高峰のリーグであるプレミアリーグに所属する「2強」の名前が真っ先に浮かぶ。だが近年、この2強に割って入ろうとしているチームがある。それが来季、悲願のプリンスリーグ関東2部昇格を果たした日体大柏だ。
2019年にインターハイに初出場すると、22年度には選手権初出場でベスト8進出。今年度の選手権予選では準決勝で市船を下し、決勝で流経柏に敗れたが、その後のプリンス関東2部参入戦では日大藤沢(神奈川)、堀越(東京)を下して初昇格を手にするなど、実力は間違いなく全国レベル。今年度のチームからGK早川ウワブライト(水戸ホーリーホック)というJリーガーを輩出したが、来季はよりタレントが揃うチームとなりそうだ。
その中で最注なのが現在高校2年生のFW小泉ハーディだ。天性のバネとスピード、そして選択肢を多く持った状態でアタッキングサードに侵入し、ラストパスからシュートまで精度の高いフィニッシュワークを見せる。昨年の春先はまだまだ荒削りな部分があったり、自分の感情をコントロールできない部分もあったが、月日が経つごとにこうしたムラがなくなり、よりゴール前での迫力、冷静さ、そしてスキルが光る万能型ストライカーに成長していった。
「僕の課題は味方に強く言いすぎてしまうことでした。僕が要求していてボールが来なかったら『見とけよ!』と叫んでしまったり、イライラしたりしてしまう。徐々にこれでは良くないと自分でも思い始めて、試合中も仲間に当たらないようにしていたのですが、イライラしていること自体で、結果として仲間にいい影響を与えていないなと。自分が変わらないといけないと感じるようになりました」
ストライカーとしてエゴを出したり、感情を出したりすることは決して悪くはない。だが、それによって自分が冷静さを失ったり、チームにネガティブな雰囲気を生み出してしまったりすることはプラスにはならない。精神的な成長を自覚する彼にとって、大きなきっかけとなる試合が訪れた。
選手権予選決勝。彼は流経柏の守備陣の鋭い寄せと最後まで集中の切れないチャレンジ&カバーに苦しみ、何もできないまま1-4で敗退を喫した。
「インターハイ予選準決勝でも流経柏の前に良さを出せなくて、そこから5か月経った再戦でも何もできなかった。もっと僕がボールの引き出し方の質が高かったら、崩せていたかもしれない。自分の力不足を感じました」
選手権予選決勝から1か月後、プリンス関東2部参入戦で大暴れ
やっぱり変わらないといけない。プレー面ではより予測やオフ・ザ・ボールの動きの質とバリエーションにこだわって練習し、精神面では熱くなった時に何度も頭で「冷静に」と言い聞かせて、闘志をプレーに還元することを意識し続けた。
その成果は予選決勝から1か月後のプリンス関東2部参入戦で現れた。日大藤沢戦では圧巻のハットトリックと1アシスト。決定戦の堀越戦でも2ゴール1アシストと大暴れ。2試合で総得点8のうち7ゴールに絡む大車輪の活躍を見せた。
「練習の時から求めるものが高いのはいいことなのですが、サッカーは1人でやるものではなくて、周りの選手がいて自分のプレーが成り立つもの。3年生のおかげで僕ら2年生が伸び伸びプレーすることができているし、周りのおかげで僕がゴールを決めたり、アシストをしたりすることができる。それを学べたことで、自分のプレーの成長にもつながったと思います」
掴んだ手応えは、将来への夢も膨らませている。
「高卒プロを狙いたくて、そこが難しいなら大学でサッカーをして、プロの舞台には必ず行きたいと思っています。だからこそ、課題はたくさんあるけど、これからより必死にやって、チャンスが転がってきたら掴み取りたいと思います」
そのチャンスがいきなり転がってきた。選手権には出場できなかったが、U-17日本高校選抜候補に選ばれたのだ。ここでメンバー入りをすれば、さらにプロのスカウトからの注目も高まる。このチャンスをものにするために小泉は、より心はホットに、頭はクールに虎視淡々とその牙を研ぎ澄ませる。
(FOOTBALL ZONE編集部)