Jタレント集団が低迷も…ついに王者へ 槙野智章が力説、あの失敗が「凄く活きている」【インタビュー】
元日本代表・槙野が語る神戸の強さと新チームの見どころ
2025シーズン到来を告げるJリーグ富士フイルム・スーパーカップ(2月8日)は、ヴィッセル神戸(昨季J1王者)対サンフレッチェ広島(昨季2位)の顔合わせで行われる。史上2クラブ目の3連覇に挑む神戸は、2023シーズンのJ1初制覇から勝負強さが増し、昨季リーグ戦でも熾烈な上位争いを勝ち抜いた。その強さは如何にして生まれ、今季はどのような戦いぶりを見せてくれるのか。日本テレビ系で午後1時30分から地上波放送される一戦で解説を務めるOBの元日本代表・槙野智章氏に、見どころを訊いた。(取材・文=FOOTBALL ZONE編集部・橋本 啓)
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昨季の神戸は、堅守速攻スタイルをベースに、夏場以降に勝負強さを発揮。手堅い守備だけでなく、リーグ3位タイの61得点を挙げた得点力の高さも光った。武藤嘉紀(13得点)、大迫勇也(11得点)、宮代大聖(11得点)の決定力を活かした攻撃が上手く機能し、最終節までもつれ込んだ優勝争いを見事に制した。勝負どころでしっかりと勝ち切る戦いぶりにはJ1王者らしさがあり、ここ2年はその点でライバルとの差を窺わせる。
この強さを生み出した1つの要因として、槙野氏は2022シーズンのある失敗に目を向ける。かつては勝負どころで勝ち切れない姿は珍しくなかったが、自身の現役最終年となったこの年、チームとして味わった苦い経験が、翌年からの変貌へつながったと力説する。
「残留争いをしたこの1年間の経験がもの凄く活きていると思います。なぜ負けてたのか、なぜ勝てなかったのかっていうところを選手たちが理解していて、高い授業料を払って失敗から学んだことを活かせている。どうやったら勝てるのかを認識できた1年間でした。走る、戦うという基本的なことができないと、名前があろうが、代表経験があろうが勝てない。
そこが2022年のシーズンはできなかったし、足りなかった。サッカーは『人』じゃない。そこを次の年から大迫なり山口蛍、酒井高徳、武藤が練習からハードワークする姿を中堅の選手、若い選手たちが見て、自分たちもやんなきゃいけないっていうムードが生まれている。2022年の経験は大きいんじゃないですかね」
優勝候補の一角として「間違いない」
元スペイン代表MFアンドレス・イニエスタら大物助っ人を獲得し、華麗なサッカーで頂点を目指した時期もあったが、結果は伴わなかった。2022年は豊富なタレントを擁しながら開幕から苦戦し、初勝利を挙げたのは開幕から12試合目。監督交代を繰り返す混乱ぶりを露呈し、結果的に残留争いに足を踏み入れる事態になった。
この失敗を繰り返すまいと、足もとを見つめ直した行動が、今につながっていると槙野氏は見る。そこから2023シーズンに悲願のJ1初制覇へ。ついには連覇も果たしチームには確固たる自信、勝負強さが生まれた。その表れなのか、今オフは最小限の補強にとどめた。逆に山口、菊池流帆といった実力者がチームを去ったが、槙野氏は優勝候補の一角として「間違いない」と断言する。
「(山口退団の影響は)もちろん痛いですが、昨季に加入した井手口(陽介)、鍬先(祐弥)がフィットし、計算が立つようになったところは大きいと思います。大怪我で離脱していた齋藤未月がこのキャンプから実戦復帰していることもあるので、チームとして補強よりかは、今いる選手たちが計算できるようになったところがポイントで、もしかしたらそこが1番の補強なんじゃないですか」
吉田孝行監督で4シーズン目となる神戸のベースは不変ながら、ライバルクラブは追う立場として補強を施し、王者へ真っ向勝負を挑む。当然ながら昨季からのアップデートは不可欠であり、個々のレベルアップも然り。その点で、今季から「背番号13」を纏う佐々木大樹の本格ブレイクに、槙野氏は期待を寄せている。
「神戸の13番って特別な背番号で、クラブやサポーターに認められなきゃ付けられないんですよね。それを今年から自らの意思で付けたいっていうことで、実際に背負うところまで来た。これまで攻撃陣を牽引してきた大迫や武藤に対して、彼らを超えるプレーを見せてくれるのかは注目したいです」
神戸の下部組織からトップ昇格し、プロ8年目を迎える25歳が背負うのは、永島昭浩氏や大久保嘉人氏、小川慶治朗(現・横浜FC)らが背負ったクラブのエースナンバー。その覚悟をプレーで示し、一皮剥けた“新エース誕生”となるかは見どころの1つとなる。スーパーカップでのプレーは見逃せない。
■放送概要
・FUJI FILM SUPER CUP 2025 ヴィッセル神戸×サンフレッチェ広島
地上波日本テレビ系 2月8日 午後1時30分 全国ネット生中継
・NEXT GENERATION MATCH U-18Jリーグ選抜×日本高校サッカー選抜
日テレジータス 2月8日 午前10時15分 生中継
地上波日本テレビ系 2月8日 午後3時40分 ダイジェスト放送
(FOOTBALL ZONE編集部・橋本 啓 / Akira Hashimoto)