決勝でPK敗戦は「運だったと思いたい」 元代表MFが語った裏側「どれだけ責任を感じるか」

新潟Lの川澄奈穂美【写真:Getty Images】
新潟Lの川澄奈穂美【写真:Getty Images】

新潟Lは皇后杯の決勝で浦和Lに敗れた

「今日ばかりは運だったと思いたい」と、アルビレックス新潟レディースのMF川澄奈穂美は悔しさを噛みしめながら話した。第46回皇后杯全日本女子サッカー選手権大会は1月25日にエディオンピースウイング広島で決勝戦が行われ、新潟はPK戦の末に三菱重工浦和レッズレディースに敗れた。初優勝を目指したチームは、これが5回目の準優勝になった。

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 まずはコイントスに勝利すると、エンドを入れ替えた。それは「後半に苦しくなるかなと思っていて、その時にサポーターを背中にしたかった」というもの。しかし、序盤に押し込まれる苦しい展開になり、浦和のMF塩越柚歩とFW高橋はなのコンビプレーから失点してしまう。

 その後もゴールを脅かされる場面が続くも耐えていると、新潟は少しずつ戦況を整えていく。川澄はピッチ上で「相手の最終ラインではなく、その山を越えていこう」という意思統一があったと話し、攻撃参加が多い浦和のサイドバックの背後へ向けたロングボールを増やして相手を一度押し下げた。「そこから前向きに守備をしていくのも形の1つ」とも話し、苦しい状態は打破した。

 そして前半28分、ペナルティーエリア内でパスを受けたMF滝川結女がドリブルでキープしながら狭い間を通すシュートを決め、1-1の同点に追いついた。橋川和晃監督も「選手が状況に応じてプレーするのがスタイルなので、それを実践してくれた。守備も攻撃に柔軟にプレーモデルをもとに判断してくれたと思う」と、チームの成長に目を細めた。

 その後は一進一退の展開で、川澄も「相手にも決定機があったし、自分たちにも決定機があった。それを決めていたら、決められていたら、というのもサッカーなので」と話しつつ、後半に体勢が崩れながらも放ったヘディングシュートや、延長後半に際どく外れたミドルがあっただけに「あれを決められる選手になりたい」とも口にした。

 決着はPK戦に持ち込まれ、先攻の新潟で川澄は2人目に登場。蹴り足を地面に引っ掛けてしまいミスキックになったボールだが、なんとか左ポストに当たって入った。「だいぶドキッとしましたけど、入ったのでOKです」と笑った。しかし、3人目で18歳のMF横山笑愛が相手GK池田咲紀子にセーブされてしまう。結局、この1本が差になってPK戦のスコア4-5で敗れた。

 川澄は「大丈夫だよと(声を掛けた)。私自身も、アメリカで決勝戦でのPKを外してしまった経験がある。どれだけ責任を感じるかは分かる」と、その思いを話した。

 どちらが勝ってもおかしくなかった決勝戦を終え、「本当に悔しい。ここまで出し尽くして、このチームで戦えてよかった」と多少の充実感もにじませた。それでも「今日ばかりは運だったと思いたい」と、ギリギリのところでタイトルに手が届かなかったことへの無念さを語った。新潟は皇后杯では5回目の準優勝となり、昨季にリーグカップの決勝のサンフレッチェ広島レジーナ戦がPK戦の末に敗れた準優勝だった。

 川澄の「運だけで決勝戦までは来られない」という言葉もまた正しいだろう。新潟にとってすぐそこまで近づいている念願の頂点は、再びお預けになった。

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