横浜FMの元同僚5人が見た“磐田10番”中村俊輔 「一番怖い選手」への尊敬と追憶の念

消化しきれぬ想い「もっと同じチームで…」

 長年ともに戦ったベテランの心には、ポッカリと穴が空いたような喪失感が残っている。日本代表でも長く共闘してきた中澤は「あのシュート練習でのきれいな放物線が見られないですからね。『ああ、うまいなあ』て思いながら見てましたけどね」と目を細めた。守護神の飯倉も「本当はもっと同じチームで、ああだこうだって話ながらやりたかったです」と本音を吐露した。

 若手選手にとっての中村は、変わらず大きな目標であり続けている。試合終了間際にゴールまでおよそ20メートルという絶好の直接FKを壁に当てた天野は、「2-1で迎えたロスタイムくらいの最高のシチュエーションで、やっぱりあそこは決めきらないといけないし、もし俊さんだったら絶対決めていた」と唇を噛み締めた。「何を持って超えるかっていう指標はないんですけど、とりあえず俊さんみたいに違いを出せる選手になりたいです」と決意を新たにした。

 リオデジャネイロ五輪世代の喜田は「俊さんがいなければ今の自分は確実にいない。そういう人と真剣勝負でピッチで立ち会えたっていうのはすごく幸せでした」と感慨に浸った。「自分たちも気持ちを多少は見せられたと思うし、こうやって勝てたことを意味あるものにしていかないといけない」とこの特別な勝利を今後の糧にすると誓っていた。

【了】

石川 遼●文 text by Ryo Ishikawa

フットボールゾーンウェブ●写真 photo by Football ZONE web

 

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