柿谷節全開、涙あり笑いありの“等身大会見”一問一答 子供たちは「やったー」本音語った54分

現役引退会見を実施した柿谷曜一朗【写真:FOOTBALL ZONE編集部】
現役引退会見を実施した柿谷曜一朗【写真:FOOTBALL ZONE編集部】

サポーター、家族の思いを聞かれると涙も

 2024シーズンをもって現役を引退した元日本代表FW柿谷曜一朗が1月23日、古巣セレッソ大阪の本拠地であるヨドコウ桜スタジアムで引退会見を行った。涙あり、笑いあり、プロ19年間等身大であり続けた柿谷を象徴する空間だった。54分間の会見で主な一問一答は以下の通り。

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――引退を決めた理由は?

 まずこの歳までサッカーを続けてこられたこと自体、自分ではすごくびっくりしています。僕は正直若いときは問題児で、いろんなことを大人じゃないままサッカー選手になって、未熟なままスタートしていたなかでまさか自分が35歳までプレーするとは思っていなかった。お世話になったC大阪というクラブで活躍することを夢見て、幼いころからプレーしてきた。ある程度自分が思っていたような活躍はC大阪ではできたと思っています。

 後悔は全くなくて、バーゼルに行ったり名古屋グランパス、徳島ヴォルティスとたくさんお世話になったクラブはあるけど、35歳になって思ったというよりかは、自分のなかでは数年前から楽しくというか。僕はサッカーが好きで。簡単で。楽しくて。こんなに自分に合ったスポーツはないと思って僕はやってきた。今思うのはしんどくて、難しくて、僕がボールを追いかけていたような状況じゃないなというのが数年前からあった。

 言葉にすると難しいけど、キレが年齢とともに落ちてくるというのは感じているし、サッカーに対する熱が冷めたわけではないけど、それ以上に新しいステージに立ってみたい、挑戦してみたいというのが数年前からあった。いくつかオファーはあったけど、中途半端にプレーするのは違うと思って引退を決めるしかないと。

――「ジーニアス」と表現されることが多かったがどのように感じていたか?

 今日は最後なのでカッコつけることなく喋ります。「やめてくれ」というのが、これが本音です。天才と言われれば、言われるほど普通のプレーをミスするとダメージがでかい。すごく嫌でしたね。ただ自分ではそういうプレーしようと思っていなかったし。何かを考えてプレーしたわけではなく、気が付けばそのプレーになっていた。何かやると天才だと言われてしまうので嫌やった。

 僕はもともとサッカーがうまい選手ではなかった。これを言うと「そうじゃない」と言われるんですけど。技術は乾(貴士)くんとか(香川)真司くんとかとレベルが違う。僕は運動神経が良かったので、ミスがミスじゃないようにすると、ミスじゃなくなる。相手にミスしたと思わせればミスを生かせる。こういうプレー見せたいというのは正直なくて、帰りに子供たちが「柿谷のプレーなんやったん!?」と思い出してもらえたらいいなと思ってやっていたので、天才と言われるのは嫌でしたね。

――今後は?

 サッカー系の文化人として幅広く活動していけたら。今までの経験を幅広く伝えていけたらと思います。

――応援してくれた人へメッセージを。

 サポーターのみなさんには最後の場ということで少し生意気なことを言ってしまうかもしれませんが、僕はC大阪が大好きで、2021年に名古屋へ行ったときのルヴァン杯決勝が僕のサッカー人生で1、2を争う緊張した場だった。「これセレッソと決勝か」という。対戦決まってからまあ……寝られなくて。サポーターに俺どういうプレーしたらいい、とか、どの顔で入場したらいい……とか。煽りのコメントも求められるし、そのなかで自分が思ったのは絶対勝ったろう、と。

 当時の監督は小菊(昭雄)さんで昔からよく知っている。僕の目の前でタイトル獲らせるわけにはあかんというのがあった。でも。獲ってほしい気持ちもあった。

 やば……泣きそうになってきた(涙が止まらず上を向く)。その時に、あるサポーターから「曜一朗はセレッソの曜一朗やから。お前のプレーが楽しみなだけやから」と言ってもらえて。気持ちが楽になってプレーできた。まずその方にはお礼を言いたい。

 これからのサポーターに向けて、もし僕のように選手が移籍して、憎しみ、感情があったとしても、優しく声かけてほしいと思う。セレッソで育った子らはどんなことがあってもセレッソが好き。ブーイングや愛のない言葉やったりは選手には強く刺さるので、そこだけはお願いしたいと思う。僕に優しくしてくれたサポーターには感謝しかないです。

――会見をなぜセレッソで?

 4歳からサッカーを始めて、C大阪という僕の家で、家族でありそういう存在の場所。いろいろありましたけど、最後はここでしか話すことしかできないという状況だったので、お世話になって一番感謝を伝えないといけないクラブ。あんまりヨドコウでプレーしたことないんですけど(笑)。新しいスタジアム、新しいC大阪になって僕のこと知らないサポーターも多いと思いますけど、今のサポーターに少しでもいたと伝えたい

――引退を決めた時、家族の反応は?

 僕の家には“リトル柿谷”が3人いるんですけど、3人の子供に「パパ、サッカー辞めんねん」と言ったら、すごく喜んで。「やったー」「イエーイ!」と。ずっと家にいてくれると、子供は喜んでいました。これからは家族との時間をたくさん作ってあげられます。妻も約10年間、良い時も悪い時も支えてくれて「本当にお疲れ様」と言ってくれました。先輩、後輩や選手以外の皆さんに引退を伝えた時は「もう少しやって欲しかった」と言ってくれましたけど、僕の決断を尊重してくれました。

(FOOTBALL ZONE編集部)



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