選手権に驚愕…「全方位で我々と差がある」 中国が羨望する選手レベルだけに留まらない“成功”【インタビュー】

中国でも関心が高まり続ける日本の高校サッカー
日本のサッカーファンのみなさま、こんにちは。久保田嶺です。前橋育英高校(群馬)の優勝で幕を閉じた第103回全国高校サッカー選手権。決勝には成人の日に日程が固定された第81回大会以降で最多となる5万8347人が観戦に訪れるなど、その人気は日本でも高まるばかりですが、お隣中国からも熱視線が注がれています。中国は日本の高校サッカーをどう見たのか、話を聞きました。
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「いつか中国人留学生が選手権の舞台で活躍してくれることを夢見ています」
こう話してくれたのは上海を拠点にサッカー代理人業を行う「上海RongMingスポーツパートナー」の徐好氏です。もともとは中国・ヨーロッパ間の選手移籍や留学をメイン事業にしていましたが、近年成功を収め身体能力の近い日本から学ぼうと、日本サッカー界へのニーズが増加。そのため徐好氏も2018年からは毎年高校サッカー選手権の決勝を観戦に来ており、今大会は中国版TikTokである「Douyin」のサッカー支援基金機構のメンバーとともに国立競技場で視察したそうです。
「今大会の決勝も素晴らしい試合でした。毎年レベルが高くなってきていることを実感しています。やはり中国の同年代と比べると、個人の技術が高いですね。そして体力です。これだけ強度の高い試合を連続でして、足をつる選手がほとんどいないことが驚きです。そして諦めない姿勢、最後のホイッスルまで戦い抜く姿に毎回心を打たれます。学ばせていただくことが多いです」
中国でも高校とクラブユースがどちらも出場する全国高校サッカー選手権(中国青少年サッカー大会)はありますが、学校の部活動のレベルが低く、また日本のようなテレビ放送もないため、日本の大会とは全く異なります。
そうしたこともあり、日本の高校サッカーに憧れを抱く中国人学生は多く、そして実際に日本の高校サッカーに留学に来る生徒もいるそうです。今年は福知山成美高校(京都)のナイジェリア人留学生2名が全国大会には出られなかったものの県予選で活躍し、そのままヴィッセル神戸と徳島ヴォルティスに入団が決定。そのような選手が中国人留学生からも出てくればと話します。
「今もいくつかの高校に中国からの留学生がいますが、Aチームのスタメンで活躍できている子は少ないです。みんな良い意味で壁にぶつかっています。しかし、いつかは日本の高校サッカーで活躍し、そのままJリーグクラブ入団、そして中国代表として母国をワールドカップに導いてくれるような選手が出てくればと、夢を抱いています」

中国SNSであふれる選手権称賛の声
また、中国のSNS上でも日本の高校サッカーに関する投稿は数多く、アメリカのTikTok難民が流れて来たと現在話題のメディア「RED」でも、何千という投稿がされています。内容はどれも日本の高校サッカーを絶賛するもので、選手たちのレベルはもちろんですが、運営や規模感に対する驚きの声が多く上がっているので、いくつかご紹介します。
「日本の高校サッカー選手権の影響力と運営レベルには驚きを隠せない。チケットは代表チームと同じようにコンビニで購入でき、国立競技場で試合が行われ、そして、放送には43もの民放が参加している。これは全方位で我々と差があると言わざるを得ない。昨年の0-7(9月5日/埼玉)という結果はこういったすべてが凝縮されたものだろう」
「高校生の試合に5万8347人!? なんてことだ。そして、今大会は103回目らしい。つまり、100年以上続いているということだ。この規模感や仕組み、中国スーパーリーグ以上でしょう。連携、シュート、そして素晴らしいスタジアムに観客数、これは高校生ですか?」
「“103”回目の高校選手権。“3800”の高校が参加。“5万8000人” 以上の観客。“43“のメディアが放送。 “9“の大手企業スポンサー。日本サッカーの成功は偶然ではないです」

このように選手レベルだけでなく運営面からも中国から羨望の眼差しを向けられる高校サッカー選手権。中国に限らず、高校部活のサッカー全国大会がこれほど注目され成功しているのは日本だけではないでしょうか。今後も日本だけでなく、海外のサッカーファンも魅了し続けてくれる大会であってほしいと願っています。
(久保田嶺 / Rei Kubota)
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久保田嶺
1991年生まれ、埼玉県出身。Rouse Shanghai Co.,Ltd./合同会社Rouse代表。日系企業の中国インバウンド事業やマーケティング、中国サッカー選手のマネージメントを行う。自身の中国SNSフォロワー数も40万人と中国サッカー界で一番有名な日本人としても活躍。日本へ中国サッカー情報を発信する。