佐野海舟は夏にステップアップ? 独名門バイエルン行きを“先輩”推奨…「律儀」な姿勢に感銘【見解】
【専門家の目|太田宏介】佐野海舟とは町田時代にチームメイトだった
ドイツ1部マインツMF佐野海舟は、着実にステップアップを重ねてきた。欧州挑戦1年目で、すでにチームの欠かせない存在にまで成長。FC町田ゼルビア時代に同僚だった元日本代表DF太田宏介氏は、「次のチーム選びは凄く重要」とさらなる成長に期待を懸けている。(取材・文=FOOTBALL ZONE編集部)
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佐野はマインツ移籍後、リーグ戦全試合でスタメン出場。ブンデスリーガ内のデュエル勝利数ではトップ3に入る驚きの数値を記録している。中盤底でボールを刈り取る守備力、そこから攻撃につなげる展開力が大きな魅力だ。市場価値はJリーグ時代の150万ユーロ(約2億4000万円)から700万ユーロ(約11億円)まで上昇(参照「transfermarkt」)。今シーズン注目株の1人となっている。
そんな佐野は、町田在籍時にオーバートレーニング症候群を患っていた過去もある。その後は鹿島アントラーズへと渡りJリーグ屈指のボランチとしてさらなる進化を経て、海外移籍の切符を手にした。町田で同僚だった太田氏は「本当にストイックで真面目な選手」と話し、佐野とのエピソードを明かす。
「本当に律儀でいいやつなんです。当時も『鹿島に移籍します』と選手全員にそれぞれ個別に連絡していました。しっかりと、当たり前のようにやれる律義さ、人間性も含めて、僕は大好きですね」
オーバートレーニング症候群で練習を欠席していた佐野と、太田氏は数回ほどのトレーニングでしか一緒にプレーしていない。それでも「『宏介くんお世話になりました。鹿島にいってもう1回、ゼロから頑張ります』と伝えてくれました。若い時にそんな挨拶ができるのは、海舟か武藤(嘉紀)選手くらいです(笑)」と、律儀な姿勢に驚いた過去を思い起こした。
ドイツで評価を高めている佐野には「25年夏の段階で色々な可能性がある」と、太田氏は予想する。1年目で飛躍を遂げたマインツでより研鑽を積むのか。はたまた移籍か。「今のマインツでハマっていますけど、次のチーム選びは凄く重要なのかなと。個人的には、ドイツが合っていると思いますね。それこそ、バイエルン(・ミュンヘン)とか…」。太田氏はそう期待を込めた。
「中盤の底に海舟がいて、その後ろに伊藤洋輝選手がいて。そんな未来が見られたら最高ですね。プレミア(リーグ)の姿も想像できますが、個人的にはドイツでその地位を高めていってほしい」
夢のような光景を想像しながら、太田氏が知る佐野を語ってくれた。“大先輩”の大きな期待も背負いつつ、23歳MFは欧州での挑戦を続ける。
(FOOTBALL ZONE編集部)
太田宏介
太田宏介(おおた・こうすけ)/1987年7月23日生まれ。東京都出身。FC町田―麻布大学附属渕野辺高―横浜FC―清水エスパルス―FC東京―フィテッセ(オランダ)―FC東京―名古屋―パース・グローリー(オーストラリア)―町田。Jリーグ通算348試合11得点、日本代表通算7試合0得点。左足から繰り出す高精度のキックで、攻撃的サイドバックとして活躍した。明るいキャラクターと豊富な経験を生かし、引退後は出身地のJクラブ町田のアンバサダーに就任。全国各地で無償のサッカー教室を開校するなど、現在は事業を通しサッカー界への“恩返し”を行っている。