名門校で活躍もオファーなし JFLへ加入…プロへの道つないだ元日本代表監督の存在「出会えて良かった」【インタビュー】
湘南FW福田翔生はJ1で初の2桁ゴールを記録
J1湘南ベルマーレでプレーするFW福田翔生は、昨季10ゴールを記録しシーズンを終えた。移籍2年目ながら2桁ゴールを達成し、開花を感じさせるシーズンとなったなか、3年前にはJ3で契約満了と挫折を経験。そこからここまでどう這い上がったのか、半生を振り返りつつ語ってもらった。(取材・文=FOOTBALL ZONE編集部・小西優介/全3回の1回目)
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23歳の福田は東福岡高校から2019年に当時JFLのFC今治に加入。4年在籍も契約満了となり、2023年にJ3のY.S.C.C.横浜へ加入すると、才能が開花した。21試合11ゴールを記録し、加入半年でJ1の湘南へステップアップ。そして所属2年目の昨季に目標としていた2桁ゴールを達成した。
そんな福田は福岡出身で、双子の兄・凌生(KMGホールディングスFC)とさらに1学年上には昨年までガンバ大阪でプレーし、新シーズン東京ヴェルディへ移籍した湧矢がいる。「とにかくうろちょろするガキだった」という福田は兄の影響でサッカーを始めた。
「ずっとサッカーを兄弟3人でしていて、そこにお父さんも入っていた。やっぱりその中では一番上の兄ちゃんが一番うまかった。天才だったんで。兄ちゃんの影響で全部同じチームに行った」と、小中学年は小倉南FC、そして高校では全国的にも強豪の東福岡高校へ進学した。
小倉南では割と自由にプレーしていた福田だったが、兄のあとを追って進んだ東福岡高校はプロを何人も排出している名門。1学年下にはMF荒木遼太郎(鹿島アントラーズ→FC東京)、同学年にはFW大森真吾(北海道コンサドーレ札幌→ギラヴァンツ北九州)が所属し、厳しい日々が待っていた。
「毎日ちょっと異次元で、あんまり思い出したくないくらい」と触れ、「プロになった今でも当時の練習はきつかったと思うし、きつくなかった日がなかった。フィジカルメニューが凄くて、それが一番半端なかった」と苦笑いで振り返った。
今治へ加入の決め手は元日本代表監督の存在
高校3年生の時には背番号7を背負い、夏のインターハイ出場に大きく貢献。さらにチームは冬の全国高校サッカー選手権にも出場した。そして進路を考えた時、大学進学の考えはなかったが、プロからのオファーはなかった。
「高司(裕也)さんという方が試合を見に来てくれて、練習に誘ってくれた。それがきっかけでした。プロを考えていたけど、どこからもオファーがなくて、それでも大学はあまり考えてなかった。Jに上がれる可能性があるチームに行ければと思っていたなかで、今治がオファーをくれて、しかも岡田さんもいたので、すごく魅力があるなと思って行かせていただい」と経緯を説明した。
さらに、「決め手はほぼほぼ岡田さんの存在があったから。岡田さんとはたくさん話をさせていただきました。所属前からお世話になったので、自分のサッカー人生の中で出会えて本当に良かったと思います」と、当時を振り返りつつ感謝を述べた。
滑り込みとも言える形でサッカー選手としての道をスタートさせた福田。「やれるな」と当初は思っていたものの、加入1年目は公式戦3試合出場のみに終わった。チームはJFLで3位になり、J3昇格を果たしたが、悔しい思いをした。
それでも翌年20シーズンにスペイン人のリュイス・プラナグマ監督が就任すると、出場機会が増えて18試合に出場。「リュイス監督の指導で、試合に使ってくれてレベルアップできた年だった。試合に使ってくれると成長できると思うし、実際に使ってくれてレベルアップした。感謝しかない」と語った。
しかしリュイス監督の解任から再び風向きは変わり…出番を減らした福田に待ち受けていたのはクビ宣告だった。(第2回へ続く)
[プロフィール]
福田翔生(ふくだ・しょう)/2001年3月23日生まれ、福岡県出身。プロを何人も輩出している名門・東福岡高校に進学。19年に当時JFLのFC今治に加入。4年在籍し契約満了後にJ3のY.S.C.C.横浜でリーグ戦21試合11ゴールと爆発。加入半年でJ1湘南へ引き抜かれ、所属2年目の昨季はリーグ戦10ゴール4アシストを記録。
(FOOTBALL ZONE編集部・小西優介 / Yusuke Konishi)