初出場でまさかの善戦、名門と対戦して得た自信 2年生が明かした突破口「よく見ると気づいた」

柚木創とマッチアップをした石井龍翔【写真:Getty Images】
柚木創とマッチアップをした石井龍翔【写真:Getty Images】

選手権4強で流経柏に堂々対抗、東海大相模CB石井龍翔が語ったピッチ上の光景

 第103回の高校サッカー選手権で初出場ながらベスト4に進出した東海大相模(神奈川)。チームの守備を支えた172センチの2年生CB(センターバック)石井龍翔は、惜しくも0-1で敗れた準決勝の流通経済大柏(千葉)戦でも相手の前線からのハイプレスに対して臆することなく最終ラインからのビルドアップに参加したり、身体を張った守備で猛攻を凌いだりと、頭脳的かつ気迫溢れるプレーで最後まで勇敢に戦った。

 彼の魅力はプレスに屈しない前に運ぶ力とパスセンスにある。最終ラインから常に全体を見渡して、ボランチやサイドハーフ、FWの位置を確認。ボールを受けたらダイレクトで叩くこともあれば、ドリブルで前に運び出してボランチラインまで進んで、そこからサイドチェンジや縦パスを供給する。

「もともとボランチをやっていたのでその影響もあると思いますが、ちょっとでも前に運んで、より優勢な状況で選択肢を持ちたいですし、より相手の陣地でプレーをしたいので、そこは勇気を持ってやっています」

 キックには自信がある。だが、それを強みとするあまり、味方の準備が整っていない状態で蹴り出してしまったり、意図のないキックをしたりするのはチームにとってプラスではない。より味方にメッセージが伝わって、次のプレーがしやすいキックを出せるか。彼は常に人とスペースを探して、そこにボールを運ぶことを意識している。当然、しっかりと周りの状況が見えているからこそ、スペースがない時は無謀なチャレンジはしない。その賢さが準決勝で如実に現れていた。

「流通経済大柏は足もとにガツガツくるので、よく見てみるとスペースよりもパスコースがいくつか生まれることに気づいたので、今日は運ぶよりもどんどんそこにパスを出してプレスを掻い潜ることを意識しました」

 こうした彼の言葉を聞くと、相手の矢印を把握する能力に長けているのだと感じる。プレスの強弱、方向、角度を理解するからこそ、その矢印を折ったり、逸らしたりする的確なプレーをきちんと選択できる。それを伝えると、彼は明確な答えを返してきた。

「プレスが来る時は相手の重心だったり、方向だったりを判断します。僕は左利きなので、右から来たらボールを前に出して、さらに身体を相手の前に出す。左だったらシンプルにダイレクトパスを入れたりして外します。もっとこの外し方は磨いていかないといけませんが、今日のようなプレスを仕掛けてくる相手にも飲み込まれずにやれたのは自信になりました」

 この大会で彼は着実に成長をした。まだ2年生、来年は「選手権ベスト4」という看板を背負って戦っていかないといけない。

「ライバルの日大藤沢も裏選手権でベスト4という成績を残している。ライバルたちの僕らを見る目が一気に変わると思うので、それに負けないように僕らももっと成長したい。来年は県リーグで良い成績を残して、関東大会、インターハイで経験を積んでまたここに帰ってきたい。今年のチャンピオンとして恥じないように地に足をつけてやっていきたいです」

 自覚と責任、そして今大会で得た自信を胸に。石井は来年も最終ラインでそのインテリジェンスと技術を魅せる。

(FOOTBALL ZONE編集部)



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