元日本代表、欧州での挫折「すべて叶わなかった」 ロシアに翻弄され…覚悟決めた帰国

FC東京に復帰した橋本拳人(写真はエイバル在籍時)【写真:Getty Images】
FC東京に復帰した橋本拳人(写真はエイバル在籍時)【写真:Getty Images】

FC東京に復帰した橋本拳人「相当な覚悟を持って帰ってきました」

 2020年にFC東京を離れて以来となるチームへの復帰を果たした元日本代表MF橋本拳人が1月14日、オンライン会見に応じて新シーズンへの意気込みを語った。

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 夏にもMF松木玖生が欧州へ渡っていたFC東京は、今冬の移籍市場でもMF原川力が柏レイソルへ移籍。また、パリ五輪のU-23日本代表に選ばれたMF荒木遼太郎もレンタル元の鹿島へ復帰し、中盤が手薄になっていた。そのなかで2020年にロシア1部FCロストフへ移籍した橋本が、新たな軸になることが期待されたのだろう。

 2022年に一度はヴィッセル神戸へ加入したものの、その後、再びスペイン2部SDウエスカへ移籍し、2024年にはスペイン2部SDエイバルに所属していた橋本は、「相当な覚悟を持って」U-15年代から所属していたクラブへの復帰を決めたという。

 FC東京とは「2年前くらいから話をしていた」と明かし、強化部の思いが胸に響いたと続けた。「今シーズンはエイバルでプレーしていましたが、なかなか試合に出られない状況もあり、東京からの熱いオファーもあったので、相当な覚悟を持って帰ってきました。強化の方々のタイトルを獲りたいという思いであったり、自分を必要としてくれている思いを聞いて心が動かされました。東京のことは常に気にかけていましたが、なかなか優勝争いができていないなかで、『自分の力を出したい』『自分の力でタイトルを獲りたい』という思いが日に日に増していました」と、語った。

 背番号は渡欧前につけていた18番を再びつけることとなる。元日本代表MF石川直宏氏が長くつけ、MF品田愛斗(今季千葉へ完全移籍)が引き継いでいた背番号について、「帰ってくるなら18番をつけたいとずっと思っていましたし、ちょうど愛斗が千葉に移籍しちゃったタイミングもあったので、もちろん直さん(石川氏)の思いだったり、愛斗の思いだったりを背負って、さらに18番という番号を重みのある番号にしていけたらなと思います」と、意気込みを語った。

 約5年ぶりに戻ったチームについては「新しいチームに来た感じ」と感想を口にし、「選手も変わっていますし、監督も変わって、また新しいスタートを切るタイミングなので」と続けた。今季からは松橋力蔵監督がチームを率いることとなったが、その松橋監督の志向するサッカーについては「去年は新潟でボール保持率がJリーグナンバーワンだったので、ボールを大事にして攻撃的なサッカーをするイメージ」と言い、「僕もイチから競争があると思いますし、まずは自分のプレーを最大限アピールして貢献したいなと思っています」と、中盤でのポジション確保に闘志を燃やす。

 冒頭で今回のFC東京への再加入について「相当な覚悟を持って」と語った橋本は、自身のキャリアの集大成となる時間をクラブで過ごそうと考えているのだろう。「4年半前、東京を出ていくときには『ヨーロッパに行って、ビッグクラブに行って、ワールドカップに出て、大きな選手になって帰ってくる』という夢を持っていきましたけど、すべて叶わなかったので悔しい思いはすごくあるんですけど」と言い、「またFC東京で新たな夢に向かって頑張りたいし、新たな自分を見せていきたい」と、力を込めた。

 FC東京を離れていた期間、ロシア軍のウクライナ侵攻に翻弄され、スペインでも十分に出場機会を得られない苦しい時間を過ごした。4年前と比較して成長した部分を聞かれても、「どうですかね。ちょっと分からない」と言葉を濁し、「監督の求めるサッカーをまずは自分自身、理解しないといけないですし、自分は一人で何かできるタイプではないので周りとコミュニケーションをとって、みんなで協力して、良いサッカーをして勝っていきたい」と、自分の良さを出すことにフォーカスをしていくと語る。

 豊富な運動量に身体の強さを生かした高い守備の強度が戻ってくれば、FC東京にとっても大きな武器になる。自身が離れていた期間のFC東京をもどかしい思いで見ていたという橋本だが、FC東京のサポーターからすれば、かつての18番が苦しむ姿ももどかしかっただろう。慣れ親しんだユニフォームに身を包み、橋本がチームをけん引するプレーを見せれば、東京3クラブのなかで最下位という屈辱を味わったFC東京も、きっと上昇気流に乗るはずだ。

(河合 拓 / Taku Kawai)



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