”浦和”色のスパイク履いて「倒せばいい」 2017年以来のダービーへ…RB大宮10番の気概
FW豊川雄太はRB大宮で10番を背負う
2024年にJ3リーグを優勝し、1年でのJ2復帰を果たしたRB大宮アルディージャが1月9日に埼玉県内で新シーズンのキックオフイベントを行った。レッドブル体制となって初の開幕を迎えるチームが新加入選手を発表。京都サンガF.C.から加入し、10番を着けることになったFW豊川雄太は映える赤いスパイクを着用していた。
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これまで4つのJクラブやベルギー1部オイペンにも所属した豊川だが、こうしたイベントに出る機会はほとんどなかったという。ミックスゾーンでは「すごくなかったですか? すごかったですよね。ビックリしました」と、欧州風の演出で行われたイベントを振り返り、「本気で狙いに行くっていうことですよね。頂点というか、昇格を今年狙うというのは、チーム全体の目標なのですごく分かりやすい」と気を引き締めた。
この日、履いていたスパイクについて今シーズン使用するモデルかと聞くと、豊川は「そうですね。僕、基本赤しか履かないんで」と答え、その理由を聞くと「赤が好きなだけです。何か燃えるものがある感じがするじゃないですか。『ファイヤー!』みたいな」と笑った。そこに少し時代の変化を感じた。
以前、大宮がJ1にいた頃、筆者はクラブの広報誌の制作に携わらせていただいていた。ちょうどFW家長昭博(現川崎フロンターレ)らが在籍していて、クラブ史上最高成績を残した頃だ。当時は「赤」を着用してクラブハウスに行くのは、どこか憚れるような雰囲気があった。隣のライバルクラブである浦和レッズのチームカラーだからである。
だが、18年シーズンにJ2へ降格すると、そこから上がれずに23年シーズンにはJ3に降格してしまう。その間、隣のライバルはJ1で戦い続け、2022年には通算3度目のアジア制覇を成し遂げた。現在、両クラブの間にある差は、とても大きなものとなっており、リーグのカテゴリーが違うこともあって、ダービーマッチも行われていない。同じ町のクラブであっても「ライバル」と呼ぶには、格差ができすぎた感すらある。
鹿島時代から“赤”に強いこだわり「赤以外の色を履いたのは、京都の1年目でちょっとだけ」
加えてチームのメインスポンサーが、昨季からレッドブルになった。この日、お披露目されたユニフォームにも、前面に赤い雄牛が入り、背面の“Red Bulls”という文字も赤で描かれている。クラブ内でもエナジードリンクのレッドブルは飲み放題で、普通に赤が見られるようになった。
そもそもプロのキャリアを鹿島アントラーズで歩き始めた豊川は、赤に強いこだわりがあり「京都の時もずっと履いていました。赤以外の色を履いたのは、京都の1年目でちょっとだけあったかなかったか。2年目、3年目はずっと赤だったと思います」と語った。来季、大宮がJ1に昇格した場合、2017年以来となるトップリーグでの「さいたまダービー」が復活する可能性があるが、「いいっすね。逆に赤を履いて、倒せばいいんじゃないですか」と、大宮の10番はニヤリと笑った。
大きなエネルギーを生み出す埼玉ダービーという特別で魅力的な試合がこの数年行われていないのは、日本サッカー界にとっても損失といえるだろう。一度リセットされた感もあるさいたまダービーを復活させるためにも、今シーズンの大宮はJ1に上がらなければいけないし、そのためには赤いスパイクを履くアタッカーのゴール、アシストが求められる。
(河合 拓 / Taku Kawai)