「割り込もうとする人がいない」 日本人の文化に感銘…元助っ人が生活を回顧「きれいな国」
浦和に所属していたFWリンセンがオランダで日本について言及
オランダ出身のFWブライアン・リンセンは、2022年6月に浦和レッズに加入した。昨シーズン限りで浦和との契約が満了したリンセンは、オランダに戻り、FW小川航基、FW塩貝健人、MF佐野航大も所属するNECナイメヘンへ加入した。J1通算39試合に出場して4得点を記録したリンセンは、日本での経験をオランダメディア「Forzanec」で語っている。
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2年半にわたって日本でプレーしたリンセンは、復帰後最初の記者会見でオランダと日本の両国の違いを問われると、すぐに答えたという。
「(日本では)日常生活でスーパーマーケットの列に並ぶ時、前に割り込もうとする人がいないんだ。また、道にゴミも落ちていない。外で何かを捨てることはなく、静かにゴミ箱に捨てるんだ。とてもきれいな国だ。エスカレーターでは左側に全員が立つ。そうすることで急いでいる人たちが、右側を通れるようになっている。これらはすべて些細なことかもしれないが、仲間のことを考えてのものだ。ここオランダでも昔はそうだったけれど、今はまったくそうではない」と、リンセンは語った。
さらに「犯罪もない。僕はドアのカギをいつも開けたままで電車に乗っていた。夜、ドアを開けたまま出かけてしまっても、誰も入ってこない。自分の名前が書いていないものは、持って行かないんだ」と日本の治安の良さについても感銘を受けていたと話している。
その一方で、英語を話せる人が少ないことから、なかなか人と馴染むことが難しかったという。それでも「ある時点ですべてを受け入れて、リズムを掴めるようになるんだ。自分は訪問者だから、文化になれないといけないんだ。夜の10時に横断歩道で車が来ていなくても、信号が赤なら止まる。蛙一匹いなくなってから渡るんだ。車に乗っている時もクラクションを鳴らさない。電車の中では電話をしない。それをするとイヤな顔で見られる。それが日本のちょっとした非社交的な部分かもしれない。でも、それをやればリスペクトしてくれる」と、私生活での違いについて語った。
ピッチでも適応が必要だったというが、同時にチームメイトたちも彼に慣れる必要があったと回想する。「最初彼らは『なんてアホが来たんだ』と思っていた。もちろん、そんなことは言わない。だが、彼らが僕をどう見て、どう扱っているかで伝わってくる。ピッチで示すものにも関わってくる。僕は自分の感情のままに声を出す。自分が20メートル走ったら、ほかの選手も連動してほしい。来ていなかった『クソッタレ! なぜ遅れた!』と言う」と、自分を貫いていたと語った。
そして「ある時点で、選手たちのこともわかるんだ。彼らのことも分かり、ロッカールームの中、ロッカールームの外でも理解できるようになる。そうすると彼らは、僕がリラックスしていると思ってくれる。ピッチに立つと、僕は別人になる。それは自分でもわかっている。それがわかってもらえたら、選手たちとの関係も良くなるんだ」と続けた。
日本の食についても「世界最高。すべてが新鮮でうまい。食べ物のクオリティーはこれまでで経験して最高のものだった。魚だけではなく、肉も。ただ、パスタだけは違った。あれはイタリア料理じゃなかった」と冗談を飛ばした。
異国に適応することの難しさも理解するリンセンの存在は、NECに所属する日本人選手たちにとっても、大きな支えになるだろう。
(FOOTBALL ZONE編集部)