SNSで“エゴサ”→世間の目覆せず「悔しい」 8強牽引したキャプテンの苦悩…心の救いは「お互いに」
堀越キャプテン竹内、SNSで見た意見やコメントを受け「結果で見返したかった」
第103回全国高校サッカー選手権大会の準々決勝が各会場で1月4日に行われた。フクダ電子アリーナ2試合目には堀越(東京A)が登場し、前橋育英(群馬)と対戦。後半途中まで耐えていた堀越だが、同15分の1点に泣いた。そんな堀越の主将DF竹内利樹人(3年)は、自身のメンタルの弱さを自覚しつつも、前評判を覆せなかった思いを明かしている。
「正直言うと、(高校3年間は)そんなに楽しめなかった」。選手権の敗退後、竹内は言い淀んだ後に心の内を明かす。前橋育英のエースFWオノノジュ慶吏の決めた1点をひっくり返せず。キャプテンは、冷静に言葉を紡ぎ取材対応に応じていたが、「高校3年間は楽しめたか?」という質問が飛ぶと一瞬間が空いた。
卒業後は米カンザス州のカウリー・カレッジへの進学が決まっている竹内。堀越選手たちが主体的に考えて行動を起こし、自立した組織づくりを行うボトムアップ方式を採り入れている。そのキャプテンを経験してきた竹内は、話の節々からも客観的思考を持ち自立した選手であることが窺えた。
選手権での敗退は「ここまで実感のない、達成感のないベスト8は初めて」だと本人が語った真意は、周囲を「見返せなかった」悔しさだ。「メンタルが弱い」と自負する竹内は、それでも現代を生きる弊害か、つい「エゴサ(エゴサーチ)」をしてしまうという。
「TikTokやインスタグラムなど。コメント欄に書かれている堀越への意見を、嫌でもちょっと見てしまいます。どうしても、コメントとか世間の目が気になって。結果的に『堀越は格上には勝てない』『くじ運だけでここまで来た』という意見通りになってしまった。その悔しさが本当に大きいです。結果で見返したかった」
だが、そのきつい思いは、仲間とも共有する。「同い年の選手などと一緒に行動したりする中で、『そういう意見あったわ』という話もしました。でも『結果で見返せばいいだけだよ』とお互いに言い合ってきた」。竹内自身、そうした仲間の存在は心の救いの1つだった。
竹内が感謝「堀越を選んで良かった」
「堀越以外だったら、ここまで成長していない。堀越を選んで良かった」
その顔には、3年間で立派な“大人”へと成長した竹内の姿があった。「1、2年生の時から選手権に関わらせてもらって、先輩の背中見て、ピッチに立てたからこそ、自分の理想のキャプテン像を構築することができた。その理想に追い付くべくここまで自分を律してこれた」と、自身が得た経験を振り返る。
逆境を跳ね返すため奮闘した東京代表の主将が、次はアメリカでより大きな“スケール”の舞台に飛び込む。選手権という特別な舞台で仲間と培ったものを糧に、前を向いて次のステージへと進んでいく。
(FOOTBALL ZONE編集部・金子拳也 / Kenya Kaneko)