高校名将が指摘した選手権の問題点 求める“公平性”「こんなこと言っていいのかわからないですが」
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静岡学園の川口監督がコンディション差に言及
第103回全国高校サッカー選手権の3回戦で高川学園(山口)を下した静岡学園(静岡)の川口修監督が、シード権についての持論を口にした。
静岡学園は今大会1回戦から出場。ここまで中1日で3試合を消化しており、東福岡との準々決勝に向けチームのコンディション調整の難しさを聞かれた時のことだった。
「良かったのは、ウチとヒガシ(東福岡)が、4試合目ということ」と話し始めた川口監督は「こんなこと言っていいのかわからないですが」と口にしつつ「これが4試合と(シード校の)3試合だともう(コンディションの差が)すごいので」と指摘して「全国大会で差を付けるのはどうかなって思うんですよね。高校生だからできるでしょっていう、そういう発想はあんまり良くない。良くないっていうか、こんな素晴らしい大会なんだから」と言葉を続けた。
現在高校選手権では16チームがシードされているが、そのうちの4校は前年のベスト4の県代表チーム。残り12チームは抽選で選ばれている。シード権が前年の成績に連動するのは理解できる部分ではあるが、川口監督は「毎年(同じチームが)出られている県はいいですよ。でも静岡とか神奈川とか大阪は毎回変わるわけですよ、チームがね。自分たちが今回出て(ベスト4に入り)シード権取れました、となっても、来年出られる保証はないですからね」と述べていた。
選手権は現在48校が出場しているがシード校を無くすとなると32校に減らすか、もしくは出場校を16校増やし64校にする必要がある。いずれにしても大きな改革となるが、出場校を増やす場合、全国大会を経験できるチームが増えるということで悪い発想ではないとも思う。議論してみる価値はあるのではないか。なお、川口監督は準々決勝と準決勝の間に設けられた1週間のインターバルがコンディションを均一化させるのに役に立っていると話す。そう考えると大会期間中の累積警告のリセットも検討してみる価値はあるかもしれない。
ちなみに、今大会3試合目の静岡学園に対し、高川学園は2試合目。そうしたコンディションの差はかなり気になる部分だったようで「2試合目と3試合目では、3試合目の方が結構疲労があるんですよ。2試合目まで何とか同じ強度でできるんですが、3試合目はやっぱりちょっと落ちるので。そこをちょっと今日、心配してたんですけど」と口にした川口監督は「でも良かったです。体が動いて良かったです」と選手たちの頑張りに安堵していた。
(江藤高志 / Takashi Eto)
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江藤高志
えとう・たかし/大分県出身。サッカーライター特異地の中津市に生まれ育つ。1999年のコパ・アメリカ、パラグアイ大会観戦を機にサッカーライターに転身。当時、大分トリニータを率いていた石崎信弘氏の新天地である川崎フロンターレの取材を2001年のシーズン途中から開始した。その後、04年にJ’s GOALの川崎担当記者に就任。15年からはフロンターレ専門Webマガジンの『川崎フットボールアディクト』を開設し、編集長として運営を続けている。