“名門校10番”がプロ断念「兄貴の分も」 父もJ前身の選手…復活した逸材ドリブラー
静岡学園の佐々木、監督から「今日は追試じゃないけどラストチャンス」
第103回全国高校サッカー選手権の2回戦で高知(高知)を2-0で下し、3回戦進出を決めた静岡学園(静岡)のMF佐々木雄基が「ラストチャンス」で結果を出した。佐々木は広島国際学院(広島)との1回戦にも先発。しかし川口修監督曰く「悪すぎて」との内容でハーフタイムでの交代を余儀なくされていた。
「大事な大会なのに、気持ちが、メンタルのところが100%じゃなかった」と川口監督に判断された佐々木。「今日は追試じゃないけどラストチャンスだよってことで」と送り出されていたという。
佐々木自身、初戦が悪すぎたことは自覚しており、「メンバーから外れるかと思ってたんですけど」と先発落ちを覚悟。そこで与えられたラストチャンスで2得点に関わる活躍を見せた。
まずは前半7分の先制点の場面、佐々木がドリブルで仕掛けてカットインを見せる。「クロスか、縦パスだったりを付けて行こうかと思ってて。で相手に当たったんですけど、いい感じで入って、得点につながったので」とMF天野太陽の先制点の起点に。また後半9分のMF篠塚怜音の2点目の場面では、アシストのDF野田裕人のオーバーラップを活かすパスを出している。
「2点目も自分から野田くんに出して、点が入ったので。点には絡めているので。良かったと思います」
そう話す佐々木ではあるが、「まだ得点できてないので。次の試合、また出たら得点してチームに貢献したいと思っています」とすでに3回戦を見据えていた。
ちなみに佐々木はサッカー一家で育っており、お父さんの裕人(ひろひと)さんは「山口高校で10番で、卒業後は富士通川崎。フロンターレの前のチームで、社会人チームなんかにいて」プレーしていたとのこと。また「お兄ちゃん譲り」と話すドリブルを教わった兄の大貴(たいき)さんは「帝京で10番で。1年からです」と話す選手だったという。
「(帝京卒業後)日体大に行って、大学4年のプロとかが決まる時期に前十字を切ってしまって。それで1年リハビリして、復帰してプロを目指してましたが、なれず。兄貴の分も頑張ろうと思っています」
なお、佐々木は静岡学園入学以前は川崎のアカデミー育ち。帝京の1学年上のDF田所莉旺とは当然面識があるとのこと。決勝まで進出し「会えたら良いですね。同じフロンターレなので」と対戦を望んでいた。
川崎U-15から静岡学園へと進学した佐々木は、先輩方のドリブルを見習いつつ「身長もあるので、深いカットイン」を武器にした今のスタイルを確立。そのドリブルで得点に関わり静岡学園を決勝へと導くことができるだろうか。帝京の田所との決勝でのマッチアップが実現するのかどうかも合わせ、楽しみだ。
(江藤高志 / Takashi Eto)
江藤高志
えとう・たかし/大分県出身。サッカーライター特異地の中津市に生まれ育つ。1999年のコパ・アメリカ、パラグアイ大会観戦を機にサッカーライターに転身。当時、大分トリニータを率いていた石崎信弘氏の新天地である川崎フロンターレの取材を2001年のシーズン途中から開始した。その後、04年にJ’s GOALの川崎担当記者に就任。15年からはフロンターレ専門Webマガジンの『川崎フットボールアディクト』を開設し、編集長として運営を続けている。