怪我で8か月離脱もJ1内定「自分次第」 選手権で復帰…味方にも評価される“存在価値”

野田裕人の復帰で静岡学園チームメイトが感じた存在価値とは?【写真:徳原隆元】
野田裕人の復帰で静岡学園チームメイトが感じた存在価値とは?【写真:徳原隆元】

川崎内定の静岡学園DF野田、途中出場から十分な存在感

 来季、川崎フロンターレに加入する静岡学園(静岡)のDF野田裕人が広島国際学院(広島)戦の2-0の勝利に貢献した。12月29日に浦和駒場スタジアムで行われた第2試合、後半28分よりピッチに立った野田は、今年8月に左足の第五中足骨を骨折していた。

 手術からの回復途上にありコンディションはまだ60%程だとのこと。ベンチでキックオフの笛を聞いた野田は静学がリードを2点に広げた状況で途中交代出場すると、右サイドバック(SB)として最終ラインに入り試合を引き締めた。

「すごく良い入りが自分の中でできたと思っているので。まあスムーズに入れましたし、ゲームを締められたのかなと思っています」と自らのプレーをそう振り返る野田に対し、この日ゲームキャプテンを務めたセンターバック(CB)の岩田琉唯は野田投入の効果を次のように話す。

「(野田の投入で)チームが引き締まってさらに活性化するというのはいつものことでした。すごく心強いですし、キャプテンでチームをまとめる力というのもありますし、プレーの面でもやはりプロが決まっていて、すごい自分たちにはないものを持っている。そういう場面のところで引っ張ってくれているなと思います」

 実際に野田は右サイドからの攻撃を活性化。岩田は「攻撃のバリエーションが増えて、すごいいい攻撃になったと思います」と振り返っていた。なお、野田は今年のチームに体制が移行した直後にグロインペイン症候群も発症しており「新チームの時に、グロインペインになって5か月半くらいやってないです」とのことで、第五中足骨の怪我も合わせ「今年は8か月くらいやってないです」と苦笑い。

 それでも川崎に内定が出るほど評価は高い。チームが勝ち上がるに従いプレー時間も伸びていくことが期待されるが、野田自身は「それは自分次第なので。ここからアピールの部分もあります」と表情を引き締めていた。そしてプロ内定選手として「注目もされますし、インパクトは残したいと思っていますけど、やっぱり一番は怪我しないこと。それは今年一年で学んだことなので。そこは一番大事にしています」と話していた。

前回大会で敗れた広島国際学院へリベンジ成功「勝てたことは良かった」

 ちなみに野田は前回大会の敗れた広島国際学院戦に先発フル出場しており「個人的にも凄いリベンジしたい相手で。対戦が決まってからは、すごく身が引き締まりました」と明かしていた。その相手を下して2回戦に進出。「自分たちの力を出し切れたかと言われると、まだまだですけど。勝てたことは良かったのかなと思います」と油断はない。

 なお、「本当に昨年よりも一戦一戦に懸ける思いっていうのは、経験している分強いです」と目の前の一試合の大事さ強調しており「チームとして次の2回戦に向けていい準備します」と口にして勝利の余韻を振りほどいていた。その静岡学園の2回戦の対戦校は“ハンドスプリングスロー”で話題を呼んだ高知となっている。

(江藤高志 / Takashi Eto)



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江藤高志

えとう・たかし/大分県出身。サッカーライター特異地の中津市に生まれ育つ。1999年のコパ・アメリカ、パラグアイ大会観戦を機にサッカーライターに転身。当時、大分トリニータを率いていた石崎信弘氏の新天地である川崎フロンターレの取材を2001年のシーズン途中から開始した。その後、04年にJ’s GOALの川崎担当記者に就任。15年からはフロンターレ専門Webマガジンの『川崎フットボールアディクト』を開設し、編集長として運営を続けている。

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