得点王狙う逸材2年生「俺の出番だ」 17年ぶり大仕事…監督絶賛の名門校ストライカー
決勝点を奪った帝京FW宮本周征「ゴールを取るためにサッカーをしている」
第103回全国高校サッカー選手権は12月28日に国立競技場で開幕戦が行われ、帝京(東京B)が京都橘(京都)を2-1で下した。試合終了間際に決勝ゴールを奪った2年生FW宮本周征は、「ゴールを取るためにサッカーをしている」と、ストライカーとしての矜持を持ち大会得点王も目標に掲げている。
前半立ち上がりのゴールで帝京が1-0でリードしていた後半12分に宮本が送り込まれた。試合展開を鑑みて左サイドハーフに投入したが「もともとFWの選手で点数を取るというミッションをクリアしてくる。送り出すメッセージとしてはゴールを取ってほしいとか、そこに関わること」と話した。
後半33分に追いつかれた帝京だが2分後、中盤で主将のMF砂押大翔がボールを奪うと前線のFW森田晃へ。そこに全速力でフォローしてきた宮本に森田からのラストパスが通ると、「流し込むだけ」と丁寧にゴール右へ転がした。これが帝京にとって17年ぶりの選手権での勝利を決めるものになった。自身では、こうした決定機で力強くシュートを打つあまりにGKにぶつけてしまうようなミスの多かった過去からの成長を感じる瞬間になったという。
藤倉監督は宮本について「ザ・ストライカーというタイプなので、3年生の中に入って2年生でもそれができる。大舞台でも待ち切れんばかりに、『俺の出番だ』と。そういうところに期待した。チームにも宮本が入ることでメッセージが伝わる」と話す。実際に、宮本は投入前からアップをしながらチラチラと藤倉寛監督を見て「(交代が)待ち遠しかった」と起用をアピールしていたことを明かした。
残り時間の中でGKと1対1になった場面を失敗したことを「点を取ったことより、その悔しさが大きい」と話す宮本は、自身にとって得点こそが存在意義だというメンタリティーを口にした。
「子供っぽい考えなんですけど、ゴールを取るためにサッカーをしているし、ゴールを取ることが自分の存在価値を示せると思うので、ゴールしか見ていないです」
だからこそ「この選手権の間にスタメンを取る気でいる」と話し、「大会で明確に6ゴールを決めるという明確な目標があって、大きい目標を立てるタイプです。得点王を目指したい。1試合1ゴールもそうですけど、藤倉先生に『どこかでスタメンの出番があるよ』とも言われているので、スタメンで出た時は2点くらい取りたいですね」と強気な言葉を残した。
その藤倉監督は「森田と宮本は良さが違って切磋琢磨してきた。どちらが出てもいいくらい、こちらには嬉しい悩みだけど、どのポジションにも出ていい選手がいる中でも毎回、悩まされている」と、この日は途中出場で共存した2人のアタッカーについて話した。
伝統ある帝京高校では、第70回大会で卒業後にガンバ大阪で活躍したFW松波正信が7得点で2年生にして得点王に輝いている。良くも悪くも「ガツガツした」ゴールへの執着心を隠そうとしないストライカーが大会中にどこまでゴール数を伸ばしていくか。伝統校である帝京の復活という話題性もある中で、大会の中での成長ぶりも含めて楽しみな存在になりそうだ。