奥さんに伝えた「内緒にしてくれ」 急遽航空券を取り…元日本代表が号泣「どうしても行きたかった」【インタビュー】
太田氏が盟友・長谷川の引退セレモニーにサプライズ登場できたワケ
ガイナーレ鳥取の元日本代表MF長谷川アーリアジャスールは、今季限りで現役生活にピリオドを打った。ホームのラストマッチにはDF太田宏介氏も引退セレモニーでサプライズ登場。涙を流した当時の思いを、改めて語ってもらった。(取材・文=FOOTBALL ZONE編集部・金子拳也)
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太田氏にとって長谷川は、高校時代から出会ってFC東京、名古屋グランパス、FC町田ゼルビア…現役キャリアで3クラブ一緒にプレーした盟友だ。「家族ぐるみの仲」だと話す太田氏は、11月17日に行われたJ3リーグ第37節ツエーゲン金沢戦(鳥取ホーム最終戦)にサプライズで訪れる。かつて太田氏の引退セレモニーに長谷川も登場しており、その“恩返し”の思いも強かった。
最終節はアウェーのSC相模原戦だったが予定が開けられず。引退セレモニーを行うホーム最終戦の金沢との試合には「どうしても行きたかった」。当初はこの日も名古屋で仕事があり諦めかけていたところ、直前でばらしとなり急遽航空券を取り鳥取へと向かった。
「当日朝に行って、試合終わったら帰らなければならなかった。日帰りでしたが、見届けることができて本当に良かったです。本人も笑えるくらい驚いてくれて。毎日連絡は取りあっているのですが、アーリアの奥さんにも(サプライズ訪問は)内緒にしてくれと共有していました」
また金沢戦で先発出場していた長谷川は、後半26分にピッチを退く。その際には両チームが花道を作り見送った。「これまでの功績、人間性を評価されてのことだと思います。あの光景を見て、一足先にスタンドで号泣していましたよ」と、太田氏は試合中から抑えきれない涙があったことを明かしている。
長谷川が引退を発表したのが11月7日。だが太田氏は長谷川から日々相談を受けつつ「今シーズン始まる時、ラスト1年になるかも」といった言葉を受け取っていたという。
「元々、身体がボロボロになるまでプレイヤーでいたいっていう考えを持っている選手でした。けれど年齢も重ねて、僕も『セカンドキャリアもすごい楽しいよ』と伝えてきたので(苦笑)。マインドチェンジしてきた部分はあると思います。僕にとってアーリアは、長いキャリアの中で色々なターニングポイントを共に経験してきた親友なんです」
太田氏は、終始嬉しそうに長谷川のことを語る。FC東京で同じ舞台へ。名古屋時代には降格危機も共に経験した。恩師ランコ・ポポヴィッチ氏に呼ばれた町田で再会…。鳥取で涙を流し抱擁した2人の姿の背景には、親友同士の抱えきれない思いが詰まっていた。