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年間30戦出場も…2度目のトライアウト 契約満了「抗えなかった」、古巣ユニ登場に込めた覚悟
琉球を今季限りで契約満了となった31歳DF増谷がトライアウトに参加
FC琉球と今シーズン限りで契約満了となったDF増谷幸祐は、12月11日に行われたJPFA(日本プロサッカー選手会)トライアウト1日目に参加した。2024年に古巣に復帰し、今季リーグ戦は30試合に出場するなど主要メンバーだった増谷。契約満了への素直な思いを明かしつつ、まだまだ“脂の乗った”31歳は持ち前の明るいキャラクターのまま、自らの覚悟も口にした。
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広島出身の増谷は、広島カープのバッグを持ってミックスゾーンに現れた。「地元なので!」と笑顔も見せる。トライアウトでは番号付きのビブスが各選手に配られるが、最初それを着用せず、アウェー琉球のユニフォームを来てピッチに登場。その理由として、クラブへの愛にあふれるコメントも残している。
「この先オファーがなかったとしても、最後トライアウトという場で出し切る。サッカーを辞めるなら辞めるという最後の割り切り。そのために自分がこれまで来ていたユニフォームを着ていました。自分の中でやり切ったと思えるプレーをしたかった。(最初ビブスを着ていなかったのも)そういうことです! 琉球の思いを背負って戦ってきたから、その恩は忘れたくない。みんなに見てほしかった。琉球のことは大好き。これからも好きですし、もっと発展していってほしいなと思います」
2016年に日本体育大学を卒業し、琉球へ加入。19年夏の移籍市場でファジアーノ岡山へレンタル移籍する。翌年には完全移籍に切り替わった。だが21年限りで契約満了となり初のトライアウトに参加することに。その後2年間はガイナーレ鳥取でプレーし、今季から古巣の琉球へ約5年ぶりに復帰していた。
今年はJ3リーグ戦30試合に出場し、最終ラインを支えた1年間。だがチームは14位に沈み、11月14日に増谷は契約満了が決まった。今年のトライアウト参加者の中でも、合計1527分のプレー時間はかなり多い。本人も愛着のある琉球を離れる際、悔しさも含めた“894”文字ものメッセージを、クラブ公式サイトを通じて残している。
「今が一番脂が乗っている」と自信
トライアウト開始時からアップの声掛け、チームを鼓舞する姿はこの日参加のメンバー内でも増谷が光っていた。「GKの山田(晃士)選手が盛り上げ上手でしたし、みんなで頑張ろうとしていました」と本人は謙遜するが、増谷の行動が「いい雰囲気」を作っている要因の1つであることは間違いなかった。
今シーズンは「勝利につながるプレーがなかなかできなかった」と悔やみ、「(復帰した自分への)期待に応えられず本当に悔しかった。ここまで悔しい思いをしたシーズンはなかなかない」と話す増谷。クラブから「若返りを図りたい」と、契約満了が伝えられた際は「若返りって、年齢で見ているのか、プレーで見ているのか。選手のコンディションも見てほしいと思いますが、年齢という数字で言えば仕方のないこと」と素直な気持ちも明かしている。
「J3もどんどん若返り、若い選手を育てて売るという一面も大きくなってきています。そこは自分の抗えなかったところですし、そこを凌駕するほどのプレーができていればチームに残れたかもしれない。そうならなかったのは、やはり自分の力不足ですね。勝利につながるプレーが少なかった。自分の中でそう“噛み砕いて”咀嚼しないといけない」
一瞬複雑な心境も垣間見せたが、決して増谷が沈むことはない。穏やかな表情は崩さず、30歳を過ぎて「今が一番脂が乗っている」と自信を見せる。ユニフォーム着用で示した覚悟。さまざまな思いを抱えながらも「いつかまた違った形で琉球のためにできないかなとずっと考えて生活しています」と、お世話になったクラブへの愛も決して忘れない。1人の人間としても熟練度を増す31歳は、心身ともに次への準備が整っている。