Jリーグには「もっと若い監督が出てこないと」 クリアすべき課題…気鋭の識者が野望明かす
人気解説者の林陵平氏は今後のキャリアを「監督を目指している」ときっぱり
気鋭の人気解説者が力強く言い切った。東京ヴェルディや柏レイソル、町田ゼルビアなどでJリーグ通算300試合に出場し、現在、人気解説者として活動する林陵平氏が12月9日、TVerで配信されている「マンデーフットボール」出演後に取材に応じて「いつかは監督をしたい。一気にJリーグの監督を目指している」と“野望”を明かした。
【PR】ABEMA de DAZN、明治安田J1リーグの試合を毎節2試合無料生中継!
明治大学から2009年に東京ヴェルディに加入した林氏はザスパ群馬でプレーした2020年を最後に現役を引退。2021年から東京大学ア式蹴球部で3シーズンにわたって指揮を執りつつ、国内、国外問わず解説者としても活動してきた。卓越した戦術眼や、言語化能力の高さで人気を博し、最近ではさらに活動の幅を広げている。
その一方で、今年は公益財団法人日本サッカー協会(JFA)のS級コーチ養成講習会を受講。S級ライセンス(10月からProライセンスに改称)はJリーグのクラブなどで監督を務めるために必要な資格で、林氏は先日、講習会のすべてを受講し終えた。来年1月の欧州での研修を経て取得条件を満たすことになり、今後のキャリアについて「取得したらいつかは監督をしたい。今の仕事もすごく楽しいですし、タイミングを見て監督になれたらなと思います」と語った。
「個人的には若い監督がもっと出てこないと駄目だと思っていますし、監督を目指して僕はやっています。自分がやりたいからだけじゃなくて、オファーがないとできないですけど、若いうちにもっと監督を、若い監督がもっと出てこないと面白くないなと思いながら見ています」という林氏は現在38歳。Jリーグで30歳代の監督はまだ多くないが、欧州ではマンチェスター・ユナイテッドの新監督になったルベン・アモリム監督が39歳、イプスウィッチのキーラン・マッケナ監督は38歳、三笘薫のいるブライトンのファビアン・ヒュルツェラー監督に至っては31歳という若さだ。
「ヨーロッパで監督をしている日本人がいるかと言ったらまだそこは全然いない」
「ヨーロッパでプレーしている日本人選手は増えているけど、ヨーロッパ、プレミアリーグで監督をしている日本人がいるかと言ったらまだそこは全然いない」と林氏は言う。ヨーロッパのトップクラブでプレーする日本人選手が増えている一方で、日本人指導者がヨーロッパのトップクラブで指揮を執る例はまだない。今後、日本のサッカー界が発展していくためには、指導者という側面でもレベルアップしていく必要があるのだろう。
現在、JFAのProライセンスは「UEFAプロライセンス」とは互換性がないため、このライセンスでは欧州クラブで指揮を執ることはできない。ただ、アジアサッカー連盟と欧州サッカー連盟の間で指導者ライセンスの互換性に関する検討が進められており、林氏は「プレミアとかブンデスとかでもできるような互換性を持たせようと今しているので、そこ(の互換性)が生まれると、より幅は広がってくるのかなと思います」と期待する。
「リバプールの(アルネ・)スロット監督は元々フェイエノールト時代から良い監督だなと思っていたので、ここまでの活躍は不思議ではないですし、スロットの監督像っていうのはすごく目指している部分ではあります。攻守に明確な戦い方があります。攻撃もポゼッションだけではないですし、カウンターもできる。守備も前からプレッシャーかけるときに誰が相手によって、そのプレッシャーのかけ方も変えたりとか、試合中の修正がとにかく早いところ、それはすごく見ていて勉強になります」
今季から遠藤航の所属するリバプールを指揮するアルネ・スロット監督を“目標”に掲げる林氏。「いろんな監督の良かったところを自分の中にとどめておいて、自分のスタイルで監督になりたい。自分の目指すものに近づいていきたいって感じです」。近年、“戦術マニア”として広く知られるようになった林氏が、指揮官としてタクトを振る時が楽しみだ。