4度目のJ2降格も…クラブに訴えた“監督続投” 今季で引退のレジェンドが求める「一貫性」

今季限りで引退する山田大記【写真:栗木一考】
今季限りで引退する山田大記【写真:栗木一考】

「この屈辱を2度と味わいたくないと思って今年やってきましたけど…」

 クラブを支えてきたレジェンドの訴えだった。ジュビロ磐田は12月8日、敵地・駅前不動産スタジアムで行われたJ1最終節でサガン鳥栖に0-3で敗れて、通算4度目のJ2降格が決まった。1年で再びJ2に戻ることになった現実に、今季で現役を引退するMF山田大記は「ゼロからチームを作り直すっていうことを繰り返していると、なかなかクラブとして積み上げていけない」と、継続したチーム作りを進めていく必要性を語った。

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 敵地のゴール裏をサックスブルーに染めたサポーターの後押しも実らなかった。前半16分、FW富樫敬真に先制点を奪われると、同30分にはFWマルセロ・ヒアンにネットを揺らされて2点目を失った。ハームタイムで山田が投入されたものの、後半に再びヒアンにゴールを決められて3点目。チームは得点を奪えずに敗れ、涙を流すことになった。

 磐田は2021年にJ2で優勝し、J1に復帰するも、1年でJ2に降格。2023年に再びJ2で2位となってJ1昇格を果たしたが、再び降格の憂き目にあった。2011年に磐田に加入し、ドイツでのプレーを経て、2017年に復帰した山田は「終わった瞬間すごい悔しかったですし、何よりすごく申し訳なかったですね。この屈辱を2度と味わいたくないと思って今年やってきましたけど、結果としてこういう結果で終わってしまったので言葉にできないです」と唇を噛んだ。

 過去3度のJ1年間優勝を誇る名門も近年は昇降格を繰り返している。その現状に山田は「またゼロからではなくて、去年、今年、一生懸命積み上げてきたものがある。来年以降の監督だったり、選手っていうところはまったく分かっていない状態ですけど、積み上げたものは来年以降もしっかりと生かしていって、至らなかったというのはしっかりクラブとして改善してくっていうところがすごく大切だなと思います」と訴えた。

「ゼロからチームを作り直すことを繰り返していると、なかなかクラブとして積み上げていけない」

 2022年9月にクラブOBでもある藤田俊哉氏がスポーツダイレクターに就任。2023年からは、日本代表の森保一監督の腹心として、サンフレッチェ広島などでコーチを歴任していた横内昭展氏が監督になり、昨年はJ1昇格、そして今季はJ1で戦ってきた。18位に沈み、J2降格となっても、2年間で積み重ねてきたものがある。実際にピッチに立っていた山田もそれを実感しているからこその訴えだった。

「僕個人としては、一線から退く立場として無責任に言わせてもらうと、降格するたびに、例えば(藤田)俊哉さんのポジションとか、監督が全て責任を取って、またゼロからチームを作り直すっていうことを繰り返していると、なかなかクラブとして積み上げていけない。もちろんいろんなことを言う人がいるかもしれないけど、2人とも残ってくれた方が個人的には嬉しいですけど、誰かが残って、この上に来年積み上げていくっていうことをやっていかないと、いつまでたっても同じことを繰り返してしまうんじゃないかな、と個人的に感じている」

2019年には監督だった名波浩氏を6月に解任すると、鈴木秀人氏、小林稔氏(代行)、フェルナンド・フベロ氏と3度の監督交代。翌2020年もフベロ氏が10月に退任して鈴木政一氏が監督となり、2022年も伊藤彰氏、渋谷洋樹氏が監督を務めた。2019年以降、実に10人が監督(代行含む)になっている現状は決して状況として好ましいとはいえないだろう。

 その期間、チームでプレーし続けていた山田は「J1に残れれば一番良かったですけど、落ちてもなお、一貫性というところをクラブとして持ってやっていってほしいです」と言う。今季で現役を退くレジェンドの訴え。クラブ側はどんな答えを導き出し、来季に臨むことになるのだろうか。

(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)



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