J1で3位躍進…町田社長「強豪クラブを作り上げたい」 ACL初参戦の来季編成に見解
町田の藤田晋社長、J1昇格シーズンを総括
FC町田ゼルビアはJ1での1年目となる2024シーズンを3位で終え、AFCチャンピオンズリーグ(ACL)の出場権を獲得した。最終節まで優勝を残していたものの12月8日にアウェーで行われた鹿島アントラーズ戦は1-3で敗れ、前人未到の初昇格即優勝は逃している。
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今シーズン、町田は開幕前にも日本代表GK谷晃生、元日本代表DF昌子源らを補強。さらにシーズン中にもDF中山雄太やFW相馬勇紀と、日本代表クラスをチームに加えて戦力アップを図った。
鹿島戦後に取材に応じた藤田晋社長は、J1を1シーズン戦った感想について「やっぱり決定機を作られた時に、本当に決められるなと。今日の試合もそうですよね。J1のレベルの高さは感じました」と、振り返った。
来季はACLの戦いもあるため、さらなる補強が行われるかにも注目が集まる。藤田氏は「現時点でも、結構、選手の質量は揃ってきていると思うんですけど、さらなる補強は必要であると思っている」と語ったが、同時に「監督と私もよく話してるんですが、やっぱりJ1の常勝軍団、いつも上位を争うクラブになるには何年もかかると思っていたんです。けれど、1年目でこのような健闘ができたので、何年もかかるのを1年でやってしまおうという気持ちで強化しました」と、積極補強の背景を語った。
夏の積極補強時には、投資を評価する声だけではなく、「金満クラブ」という批判的な声も出てきた。このことにも藤田氏は言及し、「今年完全に追い風が我々に吹いていて、注目も浴びていましたし、選手からも期待されている状況で、勝負どころとして経営者として勝負したというところ。そもそも用意していた予算から出したわけじゃない。これで逆に本当に、まったく平時に同じような補強をするのと、今年やるのとでは全然効果が違ってくると思ったので、勝負どころを見極めて」と、タイトル獲得の可能性があったからこそ、今シーズンは例外的な積極補強を行ったと繰り返した。
今季は積極補強も「このあたりで落ち着かせたい」
より具体的に来季のチーム編成については「去年、黒田監督就任初年度と、今年のJ1初年度では、かなりクラブの体制というか、選手も入れ替わりましたので、このあたりで落ち着きたい。今いる選手を中心に強豪クラブを作り上げていきたい」と語った。
この2シーズンに収めたJ2優勝、J1の3位という成果は、投資が実った結果でもあるが、「本当に(チームが)噛み合いましたし、監督も頑張ってくれたのでうまくいきましたけれど、投資をしてもうまくいかないことは過去に経験しているので。そういうジャンキーみたいな、取ればなんとかなるみたいにはならないようにしたい」と、苦笑しながら気を引き締め、「慎重になるわけじゃないですけど、さすがにこれだけガラガラ変わると、付いてくるのもみんなきついので、このあたりで落ち着かせたい」と、ベースができた手応えを感じている様子だった。
そして、その成長は選手たちだけではなく、「最終戦まで(優勝の)可能性があると本気で思えたことは本当に素晴らしいシーズンになりました。これだけサポーターの数も伸びるし、クラブ自体、我々クラブスタッフも含めて成長できるのは何十年に1回しかない。それをしっかりものにできたと思う」と、クラブ全体が大きく成長したことを強調した。
自身も馬主になるなど、競馬とも深い関わりがある藤田氏だが「社長になったのが去年からなんですけど、今年1年間はもう、一番の関心ごとがゼルビアです。競馬よりも」と、クラブへの熱い思いを口にしてスタジアムを後にした。
(河合 拓 / Taku Kawai)