浦和熱烈サポへ…ベテラン“最後のお願い”、天皇杯の「チャンス潰したことは刻んでおいて」

浦和の興梠慎三【写真:徳原隆元】
浦和の興梠慎三【写真:徳原隆元】

興梠慎三とDF宇賀神友弥の引退セレモニー実施

 浦和レッズのFW興梠慎三とDF宇賀神友弥が、12月8日のリーグ最終節アルビレックス新潟戦に出場後、引退セレモニーを行った。宇賀神は実名を挙げ来季への奮起を促し、興梠は今季の天皇杯出場禁止につながった行為について、サポーターに「心のどこかに刻んでおいてください」と呼び掛けた。

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 ともに日本代表への選出経験もある両者は、すでに今季限りでの引退を表明。興梠は13年に鹿島アントラーズから移籍加入するとクラブの最多ゴール記録を更新。下部組織から流通経済大を経てトップチーム加入となった宇賀神は、21年に一度は契約満了となったもののFC岐阜でのプレーを経て今季に復帰した。

 興梠はスタメン出場してキャプテンマークを巻き、宇賀神は後半35分から途中出場。試合は0-0で引き分けた。

 先に挨拶を行った宇賀神は「ここで話すのが2回目になる選手は、初めてでしょう」と笑ったが、家族への感謝を述べたほか「最初の退団の時にも言いましたが、この埼玉スタジアムは家なんです。ここで引退の挨拶をできるのを嬉しく思いますし、改めて浦和レッズは最高だなと思います。ただそんな僕の愛すべき浦和レッズがこのような順位にいてはいけないし、このような試合をしていてはいけないと思います」とコメント。

 そして「特に名前を挙げさせていただくと、凌磨はすごく強い覚悟を持って浦和に来たと思います。関根、原口の2人には誰よりも強い気持ちと覚悟を持って、強い気持ちでプレーしないといけないと思います。ここにいる全員がその2人、凌磨も3人ですね。それに負けないように強い気持ちを持って来年、世界に挑んでもらいたいなと。そして、僕たちが成し遂げられなかったリーグ優勝をみんなで掴んでほしいと思います」と、今季移籍加入のMF渡邊凌磨、下部組織出身のMF原口元気とMF関根貴大の名前を挙げてメッセージを送った。

「サポーターの皆さんに3つだけお願いがあります」

 また、興梠も家族やチームメイトへの感謝を述べたあとに「最後になります。サポーターの皆さんに3つだけお願いがあります」と呼び掛けた。最初に挙げたのは、昨年の天皇杯、名古屋グランパス戦後のスタジアムで暴動が起こり、今季の出場が禁止となったことについてだった。

「天皇杯はこれまでなかなかチャンスを貰えなかった若い選手には大いにチャンスをもらえる大会でもあります。そのチャンスを潰してしまったということは、心のどこかに刻んでおいてください。もちろん、不甲斐ない試合をした選手たちの責任でもあります。問題を起こしたサポーターも、恐らく自分より長く浦和にいて、僕よりも浦和レッズを愛している人だと思います。もうこれ以上、そういう人を失いたくありません」

 そして、サポーターに来季も変わらぬ声援を送ることへのお願いと、鹿島から移籍してきてチャントを作ってもらったことへの感謝を話した。そして「最後にもう聞くことはないだろう、自分のチャントをもう一度だけ聞かせてもらえないでしょうか」と呼び掛けると、11年間の在籍中に2つできた興梠のチャントがゴール裏を中心にしたスタジアムから響き渡り、興梠は噛みしめるように聞いて「本当に11年間、ありがとうございました」と、感謝の言葉を述べた。

 最後はコーチングスタッフも含め全員が場内を一周し、今シーズンの声援に感謝をしていた。

(轡田哲朗 / Tetsuro Kutsuwada)



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