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GK転向1年半で代表入りも…トライアウトで緊急搬送 JFLで復活遂げた193㎝の“大器”
栃木シティの相澤ピーターコアミがJFLのベストイレブンに選出された
日本フットボールリーグ(JFL)の表彰式が5日に都内で行われ、ベスト11に優勝した栃木シティからGK相澤ピーターコアミ(23)ら6人が入った。今季途中に公式戦デビューした相澤は193センチの長身を生かした安定した守備でチームの優勝とJ3昇格に貢献。目標に「日本代表入り」を掲げた。
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「1年目でこういう賞をいただけて、うれしいですね」と相澤は笑顔を浮かべた。今季加入した栃木で第5節に初出場すると、その後定位置をキープ。JFL昇格1年目のチームを最後尾で支え、第13節から18試合負けなしの快進撃に導いた。
「やっと活躍できました」と、相澤は苦しかったプロ生活を振り返るように言った。新潟・日本文理高から2019年にジェフ千葉入り。左ひざ軟骨損傷などで試合出場の機会がないまま、21年に退団した。新天地を求めて受けた合同トライアウトで負傷。緊急搬送されて中心性脊椎損傷の診断を受けた。
2022年にはJFLのラインメール青森に移籍、昨年はJ3のヴァンラーレ八戸に所属したが、いずれも出場なし。今季、J3昇格を目指す栃木シティに移籍してチャンスを掴んだ。
恵まれた体格と抜群の運動能力で、注目されてきた。もともとFWとしてプレーしていたが、高校1年生の冬にGKに転向。すぐに才能を開花させ、2年生の時にはチームを高校総体、選手権出場に導いた。3年生時にはU-18日本代表入り。GKキャリアわずか1年半で、日の丸に袖を通した。期待されていただけに、挫折も大きかったはずだ。
「目標は日本代表入りです」と言い切る。決して夢物語ではない。浦和で活躍、横浜FCで長くGKコーチを務め、代表レベルの選手も指導してきた田北雄気GKコーチは「長いことサッカー界にいて、初めて素質に嫉妬しました」と絶賛する。「今すぐJ2やJ1でプレーできるレベルにある」と高く評価した。
長身で俊足、運動能力は抜群だという。「しなやかなキックも見事だし、身体能力はすごい。ケガもあったのだろうけど、これほどの選手がトライアウトにいることが不思議だった」と田北コーチ。「リーダーシップがとれる性格もいい。初めての公式戦でも遠慮なくDFに指示をとばしていた。それも、GKとしての魅力」と続けた。
U-18日本代表でチームメートだった小久保玲央ブライアン(23)がパリ五輪でブレイク。同じガーナ人を父に持つ鈴木彩艶(22)は、日本代表の正GKとして活躍している。ケガで回り道をした相澤だが、目指す舞台はライバルたちと同じ世界。「代表に入るためには、J1や海外でプレーしないと。このチームでJ1まで行けたら最高です」と、栃木シティでのさらなる活躍を目指して話した。
JFL個人表彰は以下のとおり。
■最優秀選手賞
吉田篤志(栃木シティ)
■得点王(15点)
青戸 翔(沖縄SV)
■新人王
布方叶夢(ソニー仙台)
■優勝監督賞
今矢直城(栃木シティ)
■優秀レフェリー
小林健太朗
■ベスト11
【GK】
相澤ピーターコアミ(栃木シティ)
【DF】
池松大騎(Honda FC)
吉田知樹(高知ユナイテッドSC)
上月翔聖(高知ユナイテッドSC)
奥井 諒(栃木シティ)
【MF】
宇都木 峻(栃木シティ)
関野元弥(栃木シティ)
【FW】
青戸 翔(沖縄SV)
吉田篤志(栃木シティ)
田村翔太(ヴィアティン三重)
田中パウロ淳一(栃木シティ)
(荻島弘一/ Hirokazu Ogishima)
荻島弘一
おぎしま・ひろかず/1960年生まれ。大学卒業後、日刊スポーツ新聞社に入社。スポーツ部記者として五輪競技を担当。サッカーは日本リーグ時代からJリーグ発足、日本代表などを取材する。同部デスク、出版社編集長を経て、06年から編集委員として現場に復帰。20年に同新聞社を退社。