土壇場での“トリックPK”「とんでもない」「ビックリ」 誰もが驚愕した妙技と精神力【見解】
【専門家の目|太田吉彰】「一番プレッシャーがかかるところでできる覚悟がスゴい」
ジュビロ磐田は11月30日、J1リーグ第37節でFC東京と対戦し、2-1で勝利した。敗れるか、引き分けでもJ2降格が決まる一戦で先制を許しながら、試合終了間際の2得点で試合を試合をひっくり返した。決勝点は今季で現役引退を表明しているMF山田大記の“逆足”PK弾。クラブOBでこの試合の解説をしていた元日本代表の太田吉彰氏も「ビックリしました。打つ時まで右足で打つと思っていた」と驚きを隠せぬ一撃だった。
勝利しか許されない一戦で劇的なゴールを決めたのは下部組織から育ってきた“ミスタージュビロ”だった。同点に追いつき迎えた後半44分。相手のハンドで掴んだPKのチャンスで、「珍しく蹴りたいと思った。その前のFKの時から、今日はフィーリングがいいから蹴らせてくれと周りに言っていたし、だからPKの時も自分が蹴りたいと思った」と、スポットに立ったのは山田だった。
ボール後方、やや左側から助走に入る。当然、利き足の右足で蹴る……と見せかけて、振り抜いたのは左足だった。山田から向かって左に飛んだ相手GK野澤大志ブランドンの逆を突き、ボールはゴール右隅へ。ネットを揺らして、これが劇的な勝ち越し点となった。
まさかの“逆足PK”に見る者は驚かされた。現地で解説をしていた太田氏も「ビックリしました。あの場面でとんでもない精神力。プレッシャーも凄かったと思いますけど、あの場面でアレを選択したメンタルがスゴい。あれは難しいですよ。過去にやったことがあるみたいで、練習でもやっていると思いますけど、本番で、一番プレッシャーがかかるところでできる覚悟がスゴい」を目を見開いた。
これが決勝点となり、磐田は逆転勝ち。17位のアルビレックス新潟との差を勝ち点3とし、最終節まで逆転残留の可能性を残した。
太田吉彰
おおた・よしあき/1983年6月11日生まれ、静岡県出身。ジュビロ磐田ユース―磐田―仙台―磐田。J1通算310試合36得点、J2通算39試合4得点。トップ下やFW、サイドハーフなど攻撃的なポジションをマルチにこなす鉄人として活躍した。2007年にはイビチャ・オシム監督が指揮する日本代表にも選出。2019年限りで現役を引退し、現在はサッカー指導者として子どもたちに自身の経験を伝える活動をしている。