J2降格&大敗でも…「少し私が時間とっても大丈夫じゃないですか?」 ミシャが語った22分

札幌のミハイロ・ペトロヴィッチ監督【写真:徳原隆元】
札幌のミハイロ・ペトロヴィッチ監督【写真:徳原隆元】

セレモニーが行われた青山敏弘に「宿命めいたものを感じた1日だった」

 北海道コンサドーレ札幌のミハイロ・ペトロヴィッチ監督は12月1日、J1リーグ第37節のアウェー広島戦後の会見で監督業からの引退を示唆した。前日にはJ2降格が決定し、試合も1-5で大敗を喫したにもかかわらず、エネルギーに満ちあふれた約22分間の独壇場。誰からも慕われるミシャの素顔が垣間見えた。

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 2006年途中に広島の監督として来日したペトロヴィッチ監督。会見場に現れると、旧知の記者と握手を交わして笑顔を見せた。試合の振り返りから始まる会見では、失点シーンを一つずつ丁寧に振り返り、対戦相手への称賛も忘れない。雑感をざっとまとめるだけで済ませる監督も多いなか、几帳面さが窺える。

 続けて質疑応答では、2018年から率いた札幌での7年間を総括。2018年にはリーグ戦でクラブ史上最高の4位、2019年にはルヴァンカップ準優勝に導いただけでなく、コンサドーレ=超攻撃的サッカーのイメージを浸透させた。「札幌らしいと言われるサッカーというのを見せてこられたと思う」と胸を張った。

 そして、自身の去就については聞かれると「サッカーは面白いもので、非常にいろんな場面で面白い巡り合わせがある。私が18年前、2006年に広島に来てから、日本でのキャリアがスタートしたと思うんですけど、そのスタートと同時に青山選手もJ1でデビューした。そこから彼もスタートした」と切り出した。

 奇しくもこの日、今シーズンのホーム最終戦となった広島は、今季限りでの現役引退を表明しているMF青山敏弘のセレモニーを実施。ペトロヴィッチ監督が会見しているのとちょうど同時刻に、ピッチ上で行われていた。そしてミシャことペトロヴィッチ監督と青山は、切っても切り離せない絆で結ばれている。

 プロ3年目ながらリーグ戦での出場がなかった青山を見出し、後に広島のレジェンドになる男に育て上げたのは他ならぬミシャだった。そして「18年半後に青山選手の引退する年の最後のホームゲームに私は相手の監督として対戦する。サッカーの世界ではそうした巡り合わせというのもあるんだなということを改めて感じたし、宿命めいたものを感じた1日だった」と感情を高ぶらせた。

 そして、当時ともに戦った柏木陽介、槙野智章、森脇良太らが昨年から今年にかけて引退したことに触れると、自身についても語り始める。「私自身も95%、監督としてのキャリアを終えるかもしれない。5%はまだわからないですけど、札幌を率いることがないというのは確定している」。19シーズンに渡ってJリーグで指揮した監督としてのキャリアに、終止符を打つ決心を明かした。

 通訳を務める杉浦大輔コーチが話し終える前に、被せるように次々と出てくる言葉。全てを語りつくし、ふと冷静になると「少し長くなりました。広島はまだセレモニーをしているので、少し私が時間とっても大丈夫じゃないですか?」とのジョークで締めた。67歳になってもサッカーへの情熱と人たらしとも言われるユーモアにあふれるミシャ。彼の采配を見られるのも、あと1試合だ。

(FOOTBALL ZONE編集部・工藤慶大 / Keita Kudo)



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