プロ初ゴール“未遂”「本当に入ったと」 急成長の192cm大型DF、代表選外も「功を奏した」ワケ

町田の望月ヘンリー海輝【写真:FCMZ】
町田の望月ヘンリー海輝【写真:FCMZ】

町田の大卒ルーキーDF望月が集大成へ

 今シーズン、FC町田ゼルビアのなかでも最も大きな飛躍を遂げた選手の1人が、大卒ルーキーながら日本代表にも選出されるまでに至ったDF望月ヘンリー海輝だろう。パリ五輪世代のDFは、今年9月の2026年北中米ワールドカップ(W杯)アジア最終予選の日本代表に選ばれると、同10月にも引き続き日本代表に選ばれた。残念ながら11月のアウェー2連戦はメンバー外。だが日本に残ったことで、最終盤のJリーグでは優勝争いを繰り広げている町田において存在感のあるプレーを見せている。

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 11月30日、ホーム最終戦となった第35節の京都サンガF.C.戦。右ウイングバックで先発した望月は、「攻撃面でやり切って終わらせる、クオリティーの部分を見せたかった」という言葉通り、恵まれた体躯を生かした突破や強烈なフィニッシュなどで、チームに得点をもたらしそうな雰囲気を醸し出していた。

 最大の見せ場となったのは後半12分、ロングスローからの攻撃で望月はミドルシュートを放った。ボールは右ポストの内側を叩き、左ポストの内側を叩いて、再び右ポストの方向に転がっていく。ボールがライン上を転がるなか、望月はゴールラインを割ったと勘違いして喜んでいたが、完全にラインを割る前にボールは京都GK太田岳志に抑えられた。

「ロングスローで自分の頭を超えていって、(チャン・)ミンギュさんが身体を張って僕にボールをこぼしてくれたので。あそこの場面でパスを考える選手はいないと思う。僕はシュートしか考えていなくて、あそこのニアを狙ったのですけど、(右)ポストに当たって、(左)ポストに当たって、本当に入ったと思って、ちょっと恥ずかしいのですが、もう喜んじゃいました。でも、みんなの身体を張ったプレーがあったおかげで、ゴールには入りませんでしたが、フィニッシュにつながったと思っています」と、望月はこのシーンを振り返った。

 惜しくも望月はプロ初ゴールを逃したが、チームはその後、MF相馬勇紀のクロスからオウンゴールを誘発して1-0の勝利を収めた。足をつりながらも後半33分にベンチに退くまでプレーした望月は、あらためてクラブでのプレーに専念できたことのメリットを口にした。

「もちろん日本代表に呼ばれることは光栄ですが、(招集されると)どっちにもパワーを使ってしまう。今回はパワーの使いどころが(クラブチーム)1つに決められました。言い訳になってしまいますが、僕は代表に行った後は、クラブでのパフォーマンスを上げることができなかったので、今回は代表に選ばれなかったことがチームには功を奏したと感じています。代表に呼ばれなかったというマイナスの部分はありますが、そこをうまくメンタル面で切り替えて、(クラブでのプレーに専念すると)プラスに持っていった結果が、FC東京戦と京都戦の積極的なプレーにつながったと思っています」

クラブと代表両方で自分の良さを発揮するために…菅原由勢のゴールにも刺激

 あらためてクラブでのプレーに専念することで、自身のポテンシャルを実感できた望月。だが、選手としてステップアップするためには、クラブと日本代表の両方で自分の良さを発揮して、ポジション争いに勝っていかなければいけない。今回、望月が不在だった日本代表では、イングランド1部サウサンプトンのDF菅原由勢がインドネシア戦(4-0)に途中出場してゴールを決める活躍を見せた。日本代表から外れた後には、「特に気にしていない」と発言していた望月だが、自身のいない日本代表を外から見たことで感じることがあったと明かす。

「サッカーをやっていれば、(日本代表は)みんなが目指しているものだと思いますし、外から見ていても由勢くんがゴールを決めたりしていたのは……。由勢くんとのかかわりは本当に少ないですけど、ああいう気持ちのこもったプレーというのは刺激になりましたね」

 クラブに残ったことで良いコンディションが保て、日本代表のライバルの活躍に刺激を受け、今の望月は心身ともに良い状態にあるのかもしれない。最終節、優勝の可能性を残したなかで臨むアウェーでの鹿島戦を、望月は「集大成にしたい」と語る。

「優勝の可能性があるからには、優勝をもちろん目指していきます。正直、優勝の可能性が残っていないとしても、町田はグラウンドに出る11人はもちろん、ベンチの選手、登録されずにメンバー外となった選手も、全力で戦うことは変わりません。それでも僕個人としては今年の集大成という思いで、いろんなところで学ばせてもらったことを鹿島戦で発揮して、勝利で終えてファン・サポーターの皆さんにシーズンを笑顔で終えてもらえたらなと思います」

 チームにとってもJ1昇格後初のシーズンをどう締めくくるかがかかる重要な一戦で、192センチの大型新人はどのようなパフォーマンスを見せて、ルーキーイヤーを締めくくることとなるだろうか。

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